
外国の代理人として違法に活動したとされるニューヨーク州知事元側近のリンダ・サン被告の刑事裁判が進められている。この裁判は、中国共産党の政策を支持するよう米国の政府、国民に影響を与えるための中国による大規模な「工作活動」(検察)を浮き彫りにした。
サン被告は、民主党のクオモ前知事とホークル現知事の下で働き、その公的な立場を悪用して、台湾政府関係者の米国訪問を阻止し、中国による少数民族ウイグル人の人権侵害に関する発言を抑制するなど、中国の利益を促進したとして起訴された。
連邦捜査局(FBI)防諜(ぼうちょう)部門のケビン・ボーンドラン次長は、起訴内容から「(中国による)わが国の政治プロセスを破壊しようとする露骨な試み」が明らかになったと述べた。
米当局者は、連邦政府の政策や計画を中国に有利になるように誘導することを目的とした秘密の影響工作に加え、州政府や地方政府を標的とした同様の影響工作も確認している。
退役海兵隊大佐で中国安全保障問題の専門家グラント・ニューシャム氏は、中国共産党が町レベルを含む米国のあらゆる階層、さらには予想外の場所でも積極的に影響力を行使しようとしていると指摘した。
米下院中国問題特別委員会のモーレナール委員長は8月、アイオワ州デモイン市長に書簡を送付。市内の高校のゴスペル合唱団が最近、中国共産党統一戦線工作部傘下の「友好協会」の招待で中国を訪問し、全費用は協会の負担だったと警告した。
こうした「研修旅行」は、地方公務員、選挙で選出された指導者、学者らを標的としており、一見無害に見える。ニューシャム氏は「中国は『対話さえすれば友好的関係が築ける』と信じる米国人の心理を巧みに利用している」と指摘した。
議会調査官によれば、中国はこの種の活動の中核を担う統一戦線工作部を通じ、年間約100億㌦を影響工作に投じている。
影響工作の範囲は、外交官や当局者による合法的な広報活動から、この事件のような違法な秘密工作や工作員募集まで多岐にわたる。
中国は、Ⅹ(旧ツイッター)、フェイスブック、インスタグラムなどのSNSも積極的に活用している。
中国資本の動画共有アプリTikTok(ティックトック)は、当初議会で禁止されたにもかかわらず運営を継続しており、米国人の中国観形成や、中国共産党が望む対中政策を間接的に誘導する上で重要な役割を果たしている。
ニューシャム氏はティックトックを「悪質な存在」であり、「中国による洗脳と情報収集の主要ツール」と主張した。
統一戦線工作部は、旧ソ連共産党の組織をモデルに、党の権威を損ねようとする勢力を無力化し、党の利益を推進する連合体を構築し、影響力を拡大するという中国共産党の政策を推進している。
中国問題専門家アレックス・ジョスキー氏は、中国の影響工作の大半は統一戦線工作部によって実施されていると指摘した。
主に二つの目的が、党との間接的なつながりを装う仲介者を通じて遂行される。第一は、中国を「思いやりがある強い国」として肯定的に描くことで外国の人々に取り入ること。第二は、浸透と脅迫を伴う活動だ。
ジョスキー氏は「浸透は、対立する社会に徐々に入り込み、党の利益に反する行動の可能性そのものを阻害することを目的としている。脅迫は、中国の『懲罰的』あるいは『威圧的』外交を段階的に拡大し、党の利益を脅かすあらゆる国家、組織、企業、個人に対して組織的な制裁を科すことに当たる」と述べている。
ニューシャム氏は、中国の影響工作に対抗するには、法律だけでなく、個人への罰や不利益への懸念を利用する必要があると述べた。この懸念が、米国の上流階級や多大な影響力を持つ「献金者」層の行動を変えることになるからだ。
同氏は「中国が、数十年にわたり米国と戦争状態にある敵であることが多くの人々に認められなければ、中国の影響工作を実際に後退させることは困難だろう」との見方を示した。






