トップ国際北米【連載】トランプVS米名門大学「文化マルクス主義」との戦い(9)東部3校がDEIなど廃止

【連載】トランプVS米名門大学「文化マルクス主義」との戦い(9)東部3校がDEIなど廃止

トランプ米政権との合意に応じたコロンビア大学のクレア・シップマン学長代行(UPI)

 トランプ米政権は各地の大学に改革を要求しているが、とりわけ強い圧力をかけているのが、「アイビーリーグ」に属する東部の名門私立大学だ。政治、経済、教育、学術、メディアなど、あらゆる分野に指導的人材を輩出するエリート養成機関であるだけに、その左翼支配を崩せるかどうかは国の将来を左右すると言っても過言ではない。

 トランプ政権はアイビーリーグの複数の大学に補助金停止という強硬手段を用いて圧力をかけてきた。各大学は潤沢な資金を備えるものの、多額の補助金を失えば、経営はたちまち苦しくなる。このため3校が“白旗”を上げ、7月に政権との合意に応じた。

 まずトランプ大統領の母校であるペンシルベニア大学は、トランスジェンダー選手の女子競技出場を禁止することに同意した。同大はトランスジェンダーのリア・トーマス選手が女子競泳の全米大学体育協会(NCAA)大会で優勝し、大きな波紋を広げた経緯がある。大学はトーマス選手の記録を取り消し、影響を受けた女子選手に謝罪した。

 トランスジェンダー思想の広がりにより、生物学的男性がスポーツだけでなく、女子トイレや更衣室などの女性専用施設を利用するケースも発生し、社会全体に混乱をもたらしている。過激なジェンダー思想の排除を目指すトランプ政権にとって、その象徴だったペンシルベニア大学に方針転換させたことは、極めて大きな意味を持つ。

 続いてコロンビア大学は、反ユダヤ主義から学生を守らなかったとして、政府に2億㌦の罰金を支払うことに同意。同大では昨年春、親パレスチナの学生による講堂占拠事件が発生するなど、各地の大学に広がった反ユダヤ主義の中心地となった。

 罰金以上に注目すべきは、大学側が①「多様性・公平性・包括性(DEI)」の廃止②人種や性別ではなく能力に基づく入学選考・教員採用への改革――に応じたことだ。いずれもトランプ政権が学内に蔓延(まんえん)する左翼イデオロギーの排除を狙ったものに他ならない。

 マクマホン教育長官はこの合意を他の大学も追随すべき「ロードマップ」と高く評価。続いて合意したブラウン大学も、5000万㌦の支払いに加え、DEI廃止や入学選考・教員採用改革に同意した。性別は「男性」「女性」の二つのみというトランプ氏の大統領令の定義も受け入れた。

 入学選考で黒人やヒスパニック系ら人種的少数派を優遇する「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」や、雇用や昇進などで少数派を優遇するDEIは、白人やアジア系、男性などへの「逆差別」を生み出している。連邦最高裁も2023年6月、入学選考で人種を考慮することは違憲と判断した。

 こうした少数派優遇策は多様性の促進を名目にしているが、根底には白人と有色人種を「抑圧者」と「被抑圧者」に分断するマルクス主義がある。経済階級に基づく対立を煽(あお)った従来のマルクス主義とは違い、人種や性別、性的指向などのアイデンティティーで国民を分断するのが「文化マルクス主義」の大きな特徴である。

 大学側が合意内容をどこまで真剣に実行するかは不透明で、トランプ政権の圧力で大学の左翼支配を崩せる保証はない。それでも大手シンクタンク、ハドソン研究所のジョン・フォンテ上級研究員は、本紙の取材に「過去の共和党政権は何もしなかった。この問題に対応したのはトランプ政権が初めてだ」と評価。その上で、期待感を込めてこう語った。

 「結果が分かるのは数年後だが、見通しは希望的だ。文化マルクス主義に対抗し、打ち破る初めての試みが始まったのだ」

(早川俊行)

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