トップ国際北米【連載】トランプVS米名門大学「文化マルクス主義」との戦い(6)まるで極左活動家の養成所

【連載】トランプVS米名門大学「文化マルクス主義」との戦い(6)まるで極左活動家の養成所

元米国共産党副大統領候補のアンジェラ・デービス氏(UPI)

 「インドクトリネーション(教化)」。トランプ米大統領は、大学が学生に左翼思想を植え付けている状況をこう呼んで批判している。この表現は実態を正しく反映したものか、あるいはトランプ流の誇張なのか。その答えは前者であることが最近の研究結果で裏付けられた。

 クレアモント・マッケナ大学のジョン・シールズ教授ら3人のチームは、授業の進行計画であるシラバスを調査。全米の大学教員が作成した2700万以上のシラバスのデータベースから指定図書を調べたところ、授業では左翼専門家の書籍が圧倒的に多く用いられていることが分かった。

 例えば、「刑事司法制度における人種差別」をテーマにした授業では、公民権弁護士ミシェル・アレキサンダー氏の著書『新たなジム・クロウ』が多く指定されていた。「ジム・クロウ」とは、かつて南部で行われた黒人隔離政策のことだが、同書は薬物取り締まりが現代の黒人支配のツールになっていると主張する反米色の濃い内容だ。

 同書に対する反論は多くの学者から出ており、学生に異なる意見に触れさせることは幅広い見識を身に付けさせる上で重要だ。ところが、そうした反論文献がシラバスで指定されることは極めて少ない。

 それどころか、アレキサンダー氏の著書と合わせて指定されることが多いのは、米国共産党の副大統領候補に2度指名されたカリフォルニア大学サンタクルーズ校のアンジェラ・デービス名誉教授といった極左学者の書籍だ。デービス氏は米国に「文化マルクス主義」を広げた「フランクフルト学派」の中心人物の一人、ヘルベルト・マルクーゼの直弟子である。

 このように偏った指定図書を見る限り、大学教員は学生に多様な見方を教えることよりも、「米国は邪悪な人種差別国家」との認識を植え付けることを優先していることがうかがえる。

2020年12月、米首都ワシントンでデモを行う極左集団「アンティファ」の活動家(UPI)

 シールズ氏らはウォール・ストリート・ジャーナル紙への寄稿で、「トランプ氏を支持しているわけではない」と前置きしつつ、「しかし、重要な点において、彼がわれわれの仕事の本質を突いていることを認めざるを得ない。大学教育には極端な政治的偏りがある」と強調した。

 米国の大学ではさらに、極左活動家の養成を目的にした講座まである。ワシントン・タイムズ紙の報道によると、ニューヨーク市立大学大学院センターでは、極左集団「アンティファ」の活動を調査する講座を開いたことが分かった。

 アンチ(反)・ファシストの略語であるアンティファは、極左過激思想に傾倒する個人・団体による世界的運動。メンバーは黒ずくめの服装に黒いマスクをしているのが特徴だ。

 トランプ氏は9月、大統領令でアンティファを「国内テロ組織」に指定。連邦当局は先月、テキサス州の移民税関捜査局(ICE)の収容施設襲撃に関与したアンティファメンバー2人をテロ関連の罪で訴追した。また、アンティファは海外とのつながりがあることから、ハマスやアルカイダなどと同様、「外国テロ組織」に指摘することも検討されている。

 この講座のシラバスには、学生は実際にアンティファの活動に参加して実地調査を行うとある。調査目的とはいえ、学生を暴力やテロに関与させる恐れがあり、大学がこのような講座を認めたこと自体、常軌を逸している。

 国民の税金や高額な学費で支えられる大学が「左翼活動家養成所」となっている現実は、とても許容できるものではない。トランプ氏にとって大学改革は、就任演説で掲げた「常識革命」の重要な柱になっている。

(早川俊行)

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