トップ国際北米移民当局が暴力の標的に トランプ氏「過激な左派」を非難  レトリック激化が暴力助長か 【ワールドスコープ】

移民当局が暴力の標的に トランプ氏「過激な左派」を非難  レトリック激化が暴力助長か 【ワールドスコープ】

テキサス州の移民収容施設で起きた銃撃事件現場に残された「ANTI ICE(反ICE)」と刻まれた銃弾(パテルFBI長官のX投稿より)
テキサス州の移民収容施設で起きた銃撃事件現場に残された「ANTI ICE(反ICE)」と刻まれた銃弾(パテルFBI長官のX投稿より)

 トランプ米政権が不法移民の取り締まりを進める中、移民税関捜査局(ICE)を標的にした事件が相次いでいる。テキサス州ダラスのICE施設で9月24日、銃撃事件が発生し、1人が死亡、2人が重体となった。トランプ政権はこうした政治的暴力を「過激な左派による攻撃」とし、毅然(きぜん)とした対応を誓っている。(ワシントン山崎洋介)

 当局はこの人物をジョシュア・ヤーン容疑者(29)と特定した。同容疑者は、隣接する建物の屋上から、ICE施設やその近くに停車してあったバンに向けて発砲。その後、自ら命を絶ったという。被害者はみな被拘禁者で、法執行官に負傷者はいなかったという。

 連邦捜査局(FBI)のパテル長官がX(旧ツイッター)に、現場に残された銃弾の写真を投稿。そこには「ANTI ICE(反ICE)」と刻まれており、同氏は「政治的な動機に基づく攻撃」だとして捜査を進めている。

 パテル氏によると、残された容疑者のメモには、「うまくいけば、これはICE捜査官に真の恐怖を与え、『あの屋根に装甲貫通弾を持った狙撃兵がいるかもしれない?』と考えるようになるだろう」と書かれていた。事件を引き起こすことで、ICE捜査官の恐怖心をあおることを狙っていたことがうかがえる。

 トランプ氏が不法移民の摘発を強化する中、ICEに対する暴力事件が急増している。国土安全保障省によると、ICEに対する脅迫や攻撃が1000%増加。これには、職員に石や火炎瓶を投げ付けたり、車両を武器として使用したりする行為、爆破予告、職員やその家族の個人情報をオンラインで公開する行為も含まれる。

 中でも注目を集めたのは、独立記念日の7月4日に同州アルバラドにある不法移民拘束センターで起きた事件だ。黒い防弾チョッキを着た十数人の暴徒が黒の戦術装備を身にまとい、警察官に向けて銃を発射した。花火や器物破損などで注意を引き付けて警官を屋外に誘い出し、その隙に待ち伏せして銃撃したと報じられている。

 この事件では、1人の警察官が首に銃弾を受けながらも一命を取り留めた。国土安全保障省は、事件には極左集団「アンティファ」が関与していたとしている。

 トランプ政権の不法移民政策に賛否はあったとしても、それを暴力で阻止しようとする動きが強まっている事実は深刻な懸念事項だ。トランプ政権は、こうしたICEへの暴力の増加について、ICEに対する民主党政治家からの厳しいレトリックに原因があるとしている。

 トランプ氏は9月24日、自身のソーシャルメディアに「ICEの勇敢な職員たちは職務を果たし、わが国から『最悪の犯罪者たち』を排除しようとしているだけだが、狂信的な急進左派による脅迫、暴力、攻撃が前例のない増加を見せている」と指摘。その上で「この暴力は、急進左派の民主党員が絶えず法執行機関を悪魔化し、ICEを解体せよと扇動し、ICE職員を『ナチス』に例えていることの結果だ」と批判した。

 実際に民主党側からは過剰なレッテル貼りが相次いでいた。2024年大統領選の副大統領候補でもあったミネソタ州のウォルツ知事は、ICEを「現代のゲシュタポ(ナチス秘密警察)」と表現。それ以外にも、シルビア・ガルシア下院議員はICE捜査官を「凶悪犯」と呼び、デリア・ラミレス下院議員はICEを「テロ勢力」と断じた。

 同10日には、同様に「ナチス」などとレッテルを貼られていた保守活動家チャーリー・カーク氏の射殺事件が起きたばかりであり、トランプ政権は、こうした政治的暴力に対し毅然と対応する姿勢だ。トランプ氏は、アンティファを「国内テロ組織」に指定。また、ポートランド(オレゴン州)への軍の派遣を指示した。

 ボンディ司法長官は27日のビデオメッセージで、「シカゴのICE施設で今、200人以上の暴徒たちが『ICEを逮捕しろ』『ICEを撃て』と唱えている。これはポートランドやロサンゼルスの暴動で見たものと同じだ」などと指摘。「彼らは『平和的抗議者』ではない。これは過激派による組織的な攻撃だ」とし、ICEへの攻撃に関与した場合、「リベラルな州の裁判ではなく、連邦当局が逮捕し、連邦検察により起訴する」と厳しい対応を誓った。

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