メキシコ銀行(中央銀行)はこのほど、50ペソ紙幣「アホロートル紙幣」(約280円相当)が25万枚以上も市中で使われず、保管されていると発表した。その理由は、破損などではなく、「美し過ぎて使えない」ため。この紙幣は2021年に発行され、表面には「メキシコ独立運動」、裏面にはメキシコ原産の両生類アホロートル(ウーパールーパー)と世界遺産ソチミルコの水郷風景が描かれている。発行直後から「美しい」と話題となり、世界紙幣協会(IBNS)によって21年の「世界で最も美しい紙幣」に選ばれた。メキシコ銀行は「アホロートル紙幣は、芸術的・文化的な価値から、国民が使わずに保存している例が多く見られる」と報告している。
アホロートルは、メキシコの限られた地域の湖や運河にのみ生息。絶滅危惧種であり、手足や内臓を再生する能力を持つことから、再生と希望の象徴として、メキシコ国民の間で特別な存在となっている。この紙幣は国内外で話題を呼び、「アホロートル博物館」の入場者が急増。ソチミルコの観光が活性化し、関連グッズや教育プログラムが増加しているという。(ハンソニ・オヘダ)





