トップ国際北米LGBT教育の拒否容認―米最高裁 親の宗教的自由を擁護

LGBT教育の拒否容認―米最高裁 親の宗教的自由を擁護

27日、ワシントンの米連邦最高裁前で取材に応じるロザリンド・ハンソンさん(山崎洋介撮影)
27日、ワシントンの米連邦最高裁前で取材に応じるロザリンド・ハンソンさん(山崎洋介撮影)

【ワシントン山崎洋介】米連邦最高裁は27日、公立学校でLGBT(性的少数者)関連の絵本を使用した授業について、保護者が信仰上の理由で子供の参加を拒否することを認める判決を下した。こうした授業への子供の参加を強いられることは、親による宗教の自由の行使を妨げるものであり、違憲だとした。

判決は6対3で、保守派6人が親の訴えを支持し、リベラル派3人が反対した。アリート判事は多数派の意見書で「親が子供に伝えたい宗教的信念や慣習を損なう恐れのある授業を受けさせるよう政府が要求することは、親の信仰の実践に大きな負担をかけることになる」と指摘。「保護者がこうした指導を容認することを、無償の公教育を受ける条件にすべきでない」と訴えた。

東部メリーランド州モンゴメリー郡教育委員会は2022年11月、公立の幼稚園や小学校における英語の授業の教材としてLGBTに関連する児童書数冊を採用した。同教委は当初、こうした授業について、保護者の判断で特定の授業に子供を欠席させることができる「オプトアウト(免除)」を認めていたが、翌年に撤回。全生徒がこの授業への参加を強いられる形となった。

これに反発した親たちが、同教委の公聴会などで子供を宗教的信念に反する授業から除外する権利を要求するなど、抗議活動が活発化した。こうした中、イスラム教徒やカトリック教徒、ウクライナ正教徒という多様な宗教的背景を持つ3組の親たちが、教委を相手に訴訟を起こしていた。

この日、最高裁前で本紙の取材に応じた保守系草の根組織「マムズ・フォー・リバティー(自由を求めるママたち)」の同郡支部長を務めるロザリンド・ハンソンさんは、判決について「宗教の自由と親の権利にとって大きな勝利」と喜んだ。

同郡の公立学校に通う息子を持つ母親でカトリック教徒でもあるハンソンさんは、「私たちは多様な社会に生きており、学校の場では皆がすべてを同じように見るわけではないということを、尊重し理解する必要がある」と指摘。こうした多様性には「他の人たちと異なる宗教的信念を持つ人々も当然含まれる」として、信仰を理由としたオプトアウトの権利の重要性を強調した。

またこの裁判でトランプ政権は原告側を支持しており、マクマホン教育長官は判決を受け、「学校が親を排除したり、子供に対する親の宗教的義務を軽視したりすることは容認されないと最高裁が判断した。親や教育を擁護する人たちにとって素晴らしい日だ!」と声明で述べた。

一方、反対派判事による意見書は、この判決の結果が公立学校に「混乱」をもたらすと指摘。親の宗教的信念が関係する可能性のあるすべての授業についてオプトアウトを認めれば、「学校には対応不可能なほどの事務的負担が課される」と主張した。

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