トップ国際北米「米史上最大のB2爆撃」 イラン核施設攻撃

「米史上最大のB2爆撃」 イラン核施設攻撃

18時間飛行 陽動作戦も

「抑止力の復活」強調

【ワシントン山崎洋介】米軍は22日、イラン核施設に対する攻撃の詳細を発表した。「真夜中の鉄つい」と名付けられた作戦は、イラン側に察知されることなく中部フォルドゥの地下深くにあるウラン濃縮施設などの目標を精密に攻撃することに成功した。イランの核保有を容認しない姿勢を行動で示すことで、トランプ政権が掲げる「力による平和」を鮮明にした形だ。

「米国の抑止力が復活したことを世界に示した」。記者会見場に厳粛な様子で姿を現したヘグセス国防長官は同作戦について「圧倒的な成功だった」と強調した。

作戦の中心となった7機のB2ステルス爆撃機は現地時間20日深夜、ミズーリ州のホワイトマン空軍基地を出発。地下貫通型の特殊爆弾「バンカーバスター」の中でも最大級の威力を誇る「GBU57」を2発ずつ搭載し、最小限の通信にとどめつつ、東に18時間の飛行。大西洋と地中海を横断する際に途中複数回の空中給油を行った。

実際の攻撃チームとは別にB2ステルス爆撃機を「おとり」として西のグアムへ派遣するなど、イランの注意を逸らすための陽動作戦が実行された。これはメディアによって報道され、イラン側から反撃を受けることなく核施設への精密攻撃が実現した。

B2爆撃機がイランの領空に入る前に、潜水艦が24発以上の巡航ミサイル「トマホーク」を発射した。その後、イラン時間22日午前2時10分(同22日午前7時40分)ごろに、フォルドゥ、中部ナタンズ上空に到達したB2爆撃機は約25分間にわたり、核施設に計14発のGBU57を投下した。

ケイン統合参謀本部議長は「米史上最大のB2ステルス爆撃機作戦」だったとした上で、「これは極秘の任務であり、この計画の時期や内容について知る人はワシントンでほとんどいなかった」と述べた。同作戦で、米軍は125機を超える軍機を出撃。使用した精密誘導兵器は75発以上に上る。

トランプ大統領は19日に攻撃について「2週間以内に決断する」と表明し、外交の余地を残す発言をしたが、米ネットメディア「アクシオス」は米高官の話として、それが作戦計画を隠すための「煙幕」だったと報じた。これは作戦にサプライズ効果をもたらすとともに、トランプ氏が予測不能であるとの印象を強めた。

米国はバイデン前政権下で、アフガニスタン撤退における混乱やイランに対する融和的姿勢などにより抑止力を失い、ロシアのウクライナ侵攻やイスラム組織ハマスによるイスラエルへの攻撃を招いた可能性が指摘されていた。

トランプ氏はイラン核施設が「完全に破壊された」と主張しているが、正確な被害状況の判断には時間を要する見込みだ。ただ、トランプ政権が周到な計画に基づき、断固たる姿勢を示したことは、同国と戦略的協力関係にあるロシアや中国、北朝鮮に対しても明確な抑止メッセージとなったとみられる。

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