
【ワシントン山崎洋介】トランプ米大統領は21日、米軍がイランの三つの核施設を攻撃したと明らかにした。米国がイラン本土を攻撃するのは初めて。トランプ氏は攻撃が「見事な軍事的成功」だったとした上で、イランに和平に応じるよう求めた。
トランプ氏は攻撃後、ホワイトハウスで演説し、「イランの主要な核濃縮施設は完全に破壊された」と述べた。その上で、「イランはいま和平を結ばなければならない。さもなければ、この先の攻撃はさらに大きなものになるだろう」と訴えた。
一方、イランのアラグチ外相はX(旧ツイッター)で、攻撃について「国連憲章の重大な違反」だと批判し、「主権や国益を守るためすべての選択肢を排除しない」と述べた。イランからの報復攻撃も予想される中、トランプ氏は自身のソーシャルメディアで「米国に対するイランのいかなる報復も、今夜起こったよりも大きな力で迎え撃つ」とけん制した。

米軍が攻撃した核施設はイラン中部のフォルドゥ、ナタンズ、イスファハンの三つ。米メディアによると地中深くにあるフォルドゥの施設には地下貫通型爆弾「バンカーバスター」、ナタンズとイスファハンには巡航ミサイル「トマホーク」が撃ち込まれた。国際原子力機関(IAEA)は、核施設への攻撃後に周辺での放射線量の増加は報告されていないとした。
イランと交戦するイスラエルは、米国にフォルドゥへのバンカーバスター投下を要請していたと報じられている。同国のネタニヤフ首相は攻撃後の演説で「歴史は、トランプ大統領が世界で最も危険な政権、世界で最も危険な兵器を否定するために行動したことを記録するだろう」と評価した。
トランプ氏はイランの核放棄を一貫して求めており、イスラエルがイランへの先制攻撃を実行した後、同国に「無条件降伏」を求めるなど圧力を高めてきた。19日には攻撃について「2週間以内に決断を下す」と述べていた。
米国は2015年に当時のオバマ政権が、欧州主要国と共にイランとの間で濃縮ウランの保有量などを制限する見返りに経済制裁を解除する核合意を結んだ。しかし、トランプ氏は、ウラン濃縮活動の制限期間が10~15年であったことに加え、弾道ミサイル開発を断念することが合意に含まれていないことなどを問題視し、1期目の18年に核合意から離脱。これを受けイランも高濃縮ウランの生産を加速させていた。