
【ワシントン山崎洋介】トランプ米政権は14日、陸軍創設250年に合わせて首都ワシントンで軍事パレードを行い、その歴史をたたえた。首都での軍事パレードは湾岸戦争の勝利を祝った1991年以来、34年ぶり。一方、この日に合わせ、全米2000カ所以上でトランプ政権に反対するデモも開催された。
パレードには米兵6600人以上、軍用車両150台、ヘリコプター約50機などが参加。リンカーン記念堂付近から、ホワイトハウスの南側までの大通りで開催された。
米陸軍は、独立戦争中だった1775年に創設された大陸軍が起源。パレードは、最新兵器を誇示するよりも、その歴史をたたえることに重点が置かれていた。
まずは創設当時の衣装を身に着けたり、馬に乗った兵士たちの行進から始まった。続いて、2度の世界大戦や朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争などで用いられた装備が登場した。
観客から特に歓声を浴びたのが、M4シャーマン中戦車や主力戦車「エイブラムス」などの軍用車で、乗組員の兵士たちは笑顔で手を振ったり、ガッツポーズをするなどして声援に応えた。このほか、空挺パフォーマンス部隊によるパラシュート降下も披露された。
パレードには、トランプ大統領夫妻のほか、バンス副大統領、ヘグセス国防長官ら高官も出席した。トランプ氏はパレード後の演説で、米陸軍兵士の勇敢さを強調した上で、「どんなリスクや障害があろうとも、われわれの戦士たちは戦場に突入し、必ず勝利を手にする。なぜなら、米国は常に全能の神の恵みと、米陸軍の鉄の意志を持ち続けるからだ」と訴えた。
一方、この日はトランプ氏の79歳の誕生日に当たることから、資金の無駄遣いや権威主義的だなどと批判も受けている。全米各地で「ノー・キングス(王様はいらない)」と名付けられた抗議集会も開催された。
パレードに先立ちイベントも行われ、来場者たちは展示されていたヘリコプターや戦車に乗り込み写真撮影をしたり、兵士たちから兵器について説明を受けたりした。
東部ペンシルベニア州のフィラデルフィアから来た元陸軍のジャック・ストローロさん(62)は、「私は米国の自由を守るため陸軍で22年間働いた。創設250周年に参加することで、皆と交流し、イベントを少しでも盛り上げたかった」と語った。パレードの開催に批判があることについては「このパレードは、過去250年間に命を捧(ささ)げてわれわれの自由を守ってきた兵士たちをたたえるものだ。権威主義とは関係がない」ときっぱりと答えた。

