トップ国際北米トランプ米大統領、新ミサイル防衛構想に意欲 宇宙・地上から本土防衛

トランプ米大統領、新ミサイル防衛構想に意欲 宇宙・地上から本土防衛

議会・軍需企業からも支持

ホワイトハウスの執務室でミサイル防衛構想「ゴールデンドーム」について説明するトランプ大統領(左)とヘグセス国防長官(中央)=5月 20 日(UPI)

トランプ米大統領は、自身が提唱した新ミサイル防衛構想「ゴールデンドーム」の基本概念を決定し、宇宙軍のゲトライン宇宙作戦副部長を計画の責任者に任命した。ゴールデンドームを任期中に完成させ、1980年代のレーガン時代から続く国家ミサイル防衛のビジョンを完成させる意向だ。(ワシントン・タイムズ特約)

トランプ氏は先月20日、大統領執務室でゴールデンドームについて、宇宙配備の最先端の迎撃システムと高高度防衛ミサイル(THAAD)や弾道ミサイル迎撃システムなど、既存のミサイル防衛能力を統合したものになるとの見方を示した。

「ゴールデンドームは、既存の防衛能力と統合され、(2029年1月の)私の任期満了までに完全に運用可能になる」と短期間での配備に意欲を示した。

「完成すれば、地球の反対側から、あるいは宇宙から発射されたミサイルであっても、迎撃することができるようになる。かつてない最高のシステムを手に入れることになる」

ヘグセス国防長官は、ゴールデンドームが、宇宙配備の迎撃ミサイルや地上配備のミサイル防衛システムなどからなる「多層防衛」システムになると説明、米国は飛来するミサイルに対して複数の迎撃手段を持つと述べた。

一部の有力軍需企業からは、米国の東西両海岸とアメリカ湾沖の海上部隊も組み込むべきであり、戦略的に重要な場所に追加の防衛層を追加すべきだという主張も出ている。

トランプ氏によると、議会で審議中の歳出法案には、この構想向けに250億㌦(約3兆6000億円)の予算が盛り込まれている。予算は全体で1750億㌦になると予想されているが、外部のアナリストらは、それよりもはるかに高額になると指摘している。

ゴールデンドームは、中国やロシアの高度なミサイルシステムから発射される可能性のある弾道ミサイルや極超音速ミサイルの攻撃から、米本土全体を守ることを目的としている。

政府の推計によると、中国は600発の極超音速ミサイルを2035年までに最大4000発に拡大する。ロシアは10年以内に1000発の極超音速兵器を保有すると予想されている。

ゲトライン氏は、「米国が海外の平和維持に焦点を当てている間、敵対国は核戦力を急速に近代化し、複数の核弾頭を搭載可能な弾道ミサイル、米国を1時間で攻撃可能な時速1万㌔の極超音速ミサイル、レーダーと防衛システムを回避できる巡航ミサイル、沿岸に接近できる潜水艦、さらに深刻な宇宙兵器を開発してきた」とゴールデンドームの必要性を強調。「今こそ、その状況を変え、国土の防衛に力を注ぐべきだ」と訴えた。

米軍の兵器、設備の調達には時間がかかることはよく指摘されており、ゲトライン氏がこの大規模で、広範囲に及ぶ、複雑なプロジェクトを推進するにはまず、この問題に対処する必要がある。

ウィッカー上院軍事委員長(共和党)は声明で「宇宙での優位性と、航空およびミサイル防衛能力の向上なしには、抑止力を維持することはできない。ゲトライン大将が負う任務は困難だが、この任務にふさわしい人物だと確信している」と述べた。

この数週間、ゴールデンドーム計画は議会と防衛産業から強い支持を得てきた。

ワシントン・タイムズが5月中旬に実施したゴールデンドームに関するセミナーで、シーヒー上院議員(共和党)は、上院にゴールデンドーム議員連盟を設立し、プロジェクトを支援する方針を表明した。

上院軍事委員会戦略部隊小委員会のフィッシャー委員長(共和党)も、この取り組みに協力することを明らかにしている。

フィッシャー氏は、「ミサイル防衛において世代を超えた飛躍的な進歩を遂げるチャンスが巡ってきた」と指摘、中国やロシアのような敵対国がミサイル開発を急速に進める中、米国が自国を守る方法を根本から変革する大規模なミサイル防衛システムへの投資を行う絶好のタイミングだと述べた。

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