国内雇用回復へ強気
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【ワシントン山崎洋介】トランプ米大統領は29日、2期目の就任から100日たったのに合わせ、中西部ミシガン州ウォーレンで演説し、「米史上、最も成功した政権の最初の100日間を祝うため、ここにいる」と述べ、成果をアピールした。一方、諸外国との貿易での高関税政策、またインフレ対応などを巡り支持率低下も伝えられており、有権者の支持をつなぎ留められるかが課題となっている。
トランプ氏は演説で、「メキシコ国境からの不法越境者の激減」、「犯罪歴のある不法移民、ギャングなどの大量かつ迅速な国外送還の進展」を成果として強調した。加えて、生物学的男性による女子スポーツへの参加を禁止する大統領令に署名するなど「トランスジェンダーの狂気」を終わらせ、また政府支出の「何十億ドル(数千億円)もの無駄」を削減したとアピールした。
演説が行われたのは、自動車産業が盛んなデトロイトの郊外でもあり、トランプ氏は、諸外国からの輸入品への高関税政策により、米国内に雇用を取り戻すことを強調した。日本の自動車が大量輸入されていることに不満も示し、「日本のことは大好きだが、米国で製造してほしい」と注文。中国に対しては「対中関税によって、これまでの世界史上最大の雇用の横取りを終了させる。中国は、どの国よりも多くの雇用をわれわれから奪った」と訴えた。
トランプ氏は同日放映されたABCテレビのインタビューで、有権者から比較的高い支持を得ている、不法移民対策を就任後100日における「最も重要な成果」だと表明。司会者から145%の対中関税により物価上昇が起きるのでは、と指摘されたことに対しては、「すべては順調に進んでいる」とかわした。
ただ、政治分析サイト、リアル・クリア・ポリティクスによる、各種世論調査の平均値は同日時点で支持率45・2%に対し、不支持率が51・3%。就任時は支持と不支持がほぼ拮抗(きっこう)していたが、有権者がトランプ氏の経済やインフレ政策で不満を抱いていることが反映されている。中でもワシントン・ポスト紙による最新の世論調査では、トランプ氏の支持率は39%で、就任100日を迎えるこの時期の評価としてはフランクリン・ルーズベルト大統領(1933~45年在任)以降で最低を記録。不支持率は55%に上った。
だが、トランプ氏はこうした調査結果について、「偽」だと批判。「共和党員よりも民主党員を、はるかに多く調査対象にしているからだ」と主張し、信憑(しんぴょう)性に疑問を投げ掛けた。インフレの指摘についても、高騰していた卵やガソリン価格の低下を訴えた他、共和党が主導する議会で「史上最大」の減税法案の成立を目指す考えも示した。