
【ワシントン山崎洋介】米メディアは3日、トランプ大統領がウクライナへの軍事支援を一時停止すると報じた。米国の武器に依存するウクライナにとって打撃となる。ウクライナに、ロシアとの停戦に向けた交渉の席に着かせる圧力をかけることが狙いだ。
トランプ政権の報道官は「大統領は和平実現に集中しており、パートナーにもその目標を目指してもらう必要がある」と強調。ニューヨーク・タイムズ紙によると今回の一時停止の決定は、10億㌦(約1500億円)を超える武器と弾薬の支援に影響を与える。米当局者は同紙に、今回の措置はウクライナがロシアとの和平交渉に、誠意を持って取り組んでいるとトランプ氏が判断するまで有効であると述べた。
トランプ氏とゼレンスキー大統領は先月28日の首脳会談で口論に発展。ロシアとの停戦に向けた第一歩と位置付けられていたウクライナの鉱物資源の権益を巡る合意文書への署名が中止となった。
交渉再開の条件に関してトランプ氏は3日、「彼はもっと感謝すべきだ。米国はウクライナをずっと支えてきたからだ」と語った。一方で「素晴らしい取引だ」とも述べ、同交渉を継続する考えも示した。
ゼレンスキー氏が「ロシアとの停戦合意には程遠い」と述べた、との報道についてトランプ氏は、会見に先立ち自身のソーシャルメディアで「最悪の発言」と非難。「米国は、もう我慢しない。私が言っていた通り、この男は米国の支援がある限り、平和を望んでいない」と主張していた。
ゼレンスキー氏は、鉱物資源を巡る合意の条件として、米国によるウクライナの安全保障を求めている。これに対し、トランプ政権側は、米国が長期にわたってその開発の権益を持つことが、ロシアによる再侵攻の抑止につながると示唆している。
バンス副大統領は同日夜、FOXニュースのインタビューで、ウクライナにおける戦争について、「ウクライナ人の命も、米国の資金も弾薬も無限ではない。解決に導く唯一の現実的な方法は、トランプ大統領の方法である」と改めて主張。「欧州の首脳たちも公では『ゼレンスキー大統領と共に10年間戦う』と言いながら、私的には電話をかけてきて『この戦争を永遠に続けることはできない。ゼレンスキー氏は交渉のテーブルに着かなければならない』と語っている」とも述べた。