トップ国際北米トランプ米政権、「多様化」一掃で10億ドル削減 大量解雇めぐり法廷闘争も

トランプ米政権、「多様化」一掃で10億ドル削減 大量解雇めぐり法廷闘争も

2 月 13 日 、 イ ン ド の モ デ ィ 首 相 と 会 談 し た 後 、 ホ ワ イ ト ハ ウ ス 敷 地 内 を 歩 く 政 府 効 率 化 省 ト ッ プ で 実 業 家 の イ ー ロ ン ・ マ ス ク 氏 ( 右 )( U P I )

トランプ米政権は、就任直後から、連邦政府に深く浸透する左派イデオロギーに基づく多様性プログラムの一掃に取り組んでいる。迅速果敢な改革により、すでに10億ドル以上が節約されたと発表したが、連邦職員の解雇などを巡り、法廷闘争にも発展している。(ワシントン山崎洋介)

トランプ氏は大統領に就任した1月20日、バイデン前政権が推進した多様性・公平性・包摂性(DEI)プログラムをすべて終了させるとする大統領令に署名した。その中で、DEIについて「違法で不道徳な差別プログラム」であり、軍隊を含め連邦政府の至る所に浸透していると指摘した。

DEIは、多様性を掲げているものの、白人と有色人種を抑圧者と被抑圧者に分けるマルクス主義的な考えに基づいており、白人への逆差別を助長するなどと保守派から批判されてきたものだ。

大統領令を受け、「政府効率化省(DOGE)」は早速1月29日に、25の政府機関におけるDEI関連の契約85件を解除し、総額約10億ドルを削減したと発表した。このうち、財務省は21件の契約を解除し、2500万ドルを削減したほか、人事管理局は、合計4億9000万ドルの三つの契約を解除した。

その後も、DEI排除の取り組みは続き、特にトランプ氏が左派思想の温床として「廃止」を目指す教育省で本格化。DOGEは2月10日、総額1億100万ドルに上る29のDEIトレーニングへの助成金を終了したと発表した。

DOGEによると、そのうち一つは「教師が学生に抑圧に関わる複雑な歴史を理解させ、学生が個人および集団のレベルで特権と権力の領域を認識するのを助ける」ためのものだったという。

また教育省は13日、「学生や納税者の利益にならない無駄でイデオロギー的な支出が明らかになった」として、3億3600万ドル、10件の契約を終了したと発表。さらに14日には、教育省とDOGEは、全米50州に書簡を送り、公立学校のすべてのDEIプログラムを14日以内に廃止するよう求め、従わない機関は、連邦資金を失う可能性があると警告した。

DOGEは、DEIプログラムの削除にとどまらず、これらを推進してきた職員たちの「大量解雇」も計画しているとされる。ワシントン・ポスト紙はDOGEによるDEI排除についての計画を詳述した文書を入手し、15日(電子版)に報じた。

それによると、第1段階として、トランプ氏の就任日のDEIに関する大統領令やウェブサイトやソーシャルメディアアカウントの閉鎖が計画されており、これらは、実際にその通りに実行された。

現在は第2段階にあり、DEIに関連する連邦契約や助成金を取り消すことのほか、DEIに関する仕事をしている職員を特定し、休職させることになっている。これはすでに教育省などで進行中だという。

そして、第3段階は今月19日から7月中旬までの間に、すべてのDEI関連従業員を解雇することが計画されている。この動きはすでに始まっており、人事管理局は各機関に対し、DEIオフィスの従業員を解雇するための計画を提出するよう指示しているという。同紙は「この文書は、最終的な目標が、何らかの形でDEI関連の仕事をしていると特定されたすべての従業員を解雇することであることを明確にしている」と指摘している。

トランプ政権による連邦職員の大量解雇を巡っては、すでに試用期間中の職員を対象に着手が始まっていると報じられている。一方で、民主党やその支持基盤の労働組合などはDOGEの活動について違法だと主張しており、裁判にも発展している。今後の展開は、法廷闘争や世論の動向に左右されそうだ。

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