
【ワシントン山崎洋介】石破茂首相は7日(日本時間8日)、米ワシントンのホワイトハウスでトランプ大統領と初めて会談した。両首脳は、日米同盟をインド太平洋地域の平和と安全の礎と位置付けることで一致。首相は、日本企業による米国への投資額を1兆ドル規模まで引き上げる意向を表明した。トランプ氏は対日貿易赤字の解消を目指す意向を表明し、実現しない場合は関税を引き上げる可能性にも言及した。
会談は少人数会合とワーキングランチを合わせて約1時間50分行われた。その後、両首脳は共同声明を発表し、「日米関係の新たな黄金時代を追求する決意」を表明した。
首相は、共同会見で「きょう、私から『対米投資額を1兆ドルという、いまだかつてない規模まで引き上げたい』とトランプ大統領に伝えた」と明らかにした。一方、トランプ氏は共同会見で「慢性的な貿易赤字はわが国の経済を弱体化させている」として、対日赤字の解消を目指す考えを強調。会談冒頭では、記者団からの質問に、関税引き上げも選択肢との考えも示した。
トランプ氏は、米国から日本への液化天然ガス(LNG)輸出を増加させることで合意したことに触れ、「率直に言って、原油とガスだけですぐに解消できると思う」とも語った。
安全保障面では、日本が防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%へ倍増させるとしていることについて「歓迎する」と表明。トランプ氏は会見で、「きょうの会談により、大幅に増加するだろう」と防衛力強化に期待を示した上で、「われわれは、友人であり同盟国である日本の防衛のために、米国の抑止力と防衛力を全力で発揮し、同盟国を100%防衛する」と約束した。
両首脳は、東・南シナ海における中国による威圧的行為への反対を表明。中国が軍事的圧力を強める台湾問題を巡っては「力または威圧によるあらゆる一方的な現状変更の試みに反対」を明記した。国際機関への台湾の参加への支持も表明した。
米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約第5条が沖縄県・尖閣諸島に適用されることを再確認。また米国は「核を含むあらゆる能力を用いた日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメント」を強調した。
また日米豪印の枠組み「クアッド」や日米韓、日米比の協力関係強化を推進することでも一致。また、「北朝鮮の完全な非核化」に取り組む方針も明記した。
経済面では、両首脳は「経済パートナーシップを新たな次元に引き上げる」と表明。人工知能(AI)、量子コンピューティング、先端半導体などの重要技術開発における協力の強化を約束した。
首相は会談冒頭、今の良好な日米関係の礎が、安倍晋三元首相と大統領1期目のトランプ氏によって築かれたと強調。「今後もトランプ大統領と力を合わせ、世界が平和になるよう努めていきたい」と訴えた。早期の来日について、トランプ氏は前向きな考えを示した。