
【ワシントン山崎洋介】トランプ米大統領は28日、19歳未満への性転換手術を制限する大統領令に署名した。連邦政府から資金援助を受ける医療機関に対し、子供に対する思春期抑制剤の投与やホルモン療法、外科的手術など性的適合手術を禁止するもの。
大統領令では「全米で医療専門家が、不可逆的に医療介入して子供の性別を変えられる、との過激で誤った主張の下、多感な子供らを傷つけ、不妊手術を実施している」と主張した。
今回の大統領令は、バイデン前政権の方針を転換するもので、議会とも協力して法案を策定する予定だ。
ほとんどの医療機関は、連邦政府から何らかの形で資金援助を受けており今後、大きな影響を与える。
米国では近年、子供たちが医師の勧めで性的適合手術を受けたが、生殖能力を失うなど取り返しのつかない、後悔を伴うケースが相次いだ。
大統領令について、医療監視団体「ドゥ・ノー・ハーム」のラスムッセン氏は、「未成年への実験的で非科学的な性転換手術、それへの税金投入を終わらせる」ものだと評価した。
一方、性的少数者の擁護団体「ヒューマン・ライツ・キャンペーン」のケリー・ロビンソン代表は声明で「人々の生活を政治でもてあそび、トランスジェンダーの若者やその家族、医療提供者から、必要な医療を決定する自由を剥奪することは、非常に不公平」とした。一部の人権団体は、この大統領令を巡って訴訟を起こす構えだ。