
【ワシントン山崎洋介】新型コロナウイルスの起源を巡り、米中央情報局(CIA)は25日、中国の研究室から流出した可能性が高いとする新たな評価を示した。「信頼性は低い」としつつも、結論に至っていないとしていた従来の立場から転換した。
CIAは米メディアへの声明で、「入手可能な情報によれば、研究所起源説が、自然発生説よりも可能性が高い」と指摘。立場を転換した具体的な理由については示さなかった。
米当局者は、新たな評価について、バイデン前政権下でバーンズ前CIA長官が、新型コロナ起源について立場を明確にするよう促したことを受けたものだと説明。トランプ政権が発足する前に米政府内で共有されていたもので、23日に就任したラトクリフ長官が公表を決めたという。
トランプ政権の1期目で国家情報長官を務めたラトクリフ氏は、2023年の議会証言で、流出説を裏付ける証拠について「圧倒的で、説得力がある」と主張。当時、結論を保留していたCIAについては、「これは正当化できるものではない。評価を下せないのではなく、下したくないのだ」と述べ、政治的動機が背景にあることを示唆していた。
これまで新型コロナの起源を調査した米機関のうち、エネルギー省と米連邦捜査局(FBI)は研究室からの流出が最も可能性が高いと評価。一方で、国家情報会議と他の四つの情報機関は、自然発生の可能性が高いとしている。
今回のCIAの新たな判断を受け、米上院の情報委員会委員長を務めるトム・コットン氏(共和党)はX(旧ツイッター)で、「私は最初から、新型コロナは中国・武漢の研究所で発生した可能性が高いと主張してきたが、共産主義中国はそれを隠蔽(いんぺい)し、リベラルメディアは彼らを擁護した」と批判。その上で「バイデン政権末期にCIAが流出説を最も妥当な説明であると結論付けたことを歓迎する。今、最も重要なことは、世界に疫病をもたらした責任を中国に取らせることだ」と訴えた。