トップ国際北米ファウチ博士の予防的恩赦を問う 新型コロナ起源隠蔽の疑い

ファウチ博士の予防的恩赦を問う 新型コロナ起源隠蔽の疑い

ワシントンDCの連邦議会議事堂にて、サル痘への連邦政府の対応について上院厚生労働年金委員会の公聴会で発言する国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長(当時)=2022年9月14日(UPI)

【ウィーン小川敏】バイデン米大統領は20日、退任直前にトランプ現大統領の政敵とみられる人物らに予防的恩赦を与えた。免疫学者アンソニー・ファウチ博士もその一人だ。

博士はすでにバイデン氏の医療主任顧問および国立感染症研究所長を退任したが、米国における新型コロナウイルスとの闘いでは著名な科学者だ。同研究所を40年間にわたって率い、計7人の米大統領の下で働いた。ところが同博士には、新型ウイルスの起源を隠蔽(いんぺい)した疑いがある。

中国武漢発の新型ウイルスの発生源問題では「自然発生説」と「武漢ウイルス研究所(WIV)流出説」の二つがある。米上院・厚生教育労働年金委員会の共和党議員らが調査、研究、作成した「COVID―19パンデミック起源の分析、中間報告」が2022年10月に公表され、関心を呼んだ。全35㌻から成る報告書はパンデミックについて、「公開情報の分析から、ウイルス研究関連の事故から発生した可能性が高い」と結論付け、「WIV流出説」を支持した。

米エネルギー省は2023年2月、発生起源についてWIV流出と結論付けた。新たな情報に基づく結論というが、詳細は明らかにされていない。

感染起源を知る上では過去、「コウモリの女」と呼ばれる新型コロナウイルス研究の第一人者、WIVの石正麗氏と共同研究を行った専門家らが貴重な情報源だ。例えば、ウイルスの機能獲得研究、遺伝子操作の痕跡排除技術は、米ノースカロライナ大学のラルフ・バリック教授、また英国の動物学者で米国の非営利組織エコヘルス・アライアンス会長のピーター・ダザック氏らが、研究に携わった。米国から税金も投入されてのことだ。ファウチ博士も、WIVと関係を有してきた。

機能獲得研究は、ウイルスの感染力、致死力アップのための研究で、ウイルス学者からは危険視されてきた。米オバマ政権はいったん禁止したが、数年後、再び許可したという。ファウチ博士はウイルスの機能獲得研究を支持していた。

ドイツの著名なウイルス学者クリスティアン・ドロステン教授は南ドイツ新聞のインタビュー(2022年2月)で、武漢ウイルスの解明が困難なのは中国の隠蔽姿勢にあると明確にした上で、「実験を知っていた米国の科学者らの責任」にも言及した。

調査ジャーナリストとして著名なシャリー・マークソン女史は、「中国共産党政権は世界の覇権を握るため、世界のグローバル化を巧みに利用し、最新の科学技術、情報を入手した。武漢ウイルスはその恩恵の中で誕生した」と述べた。コロナパンデミックの全容解明が容易でない原因が中国にあることは明らかだが、米国にも責任の一端がある。

ファウチ博士はこれら一連の内容を知っているはずで、世界で700万人以上の死者を出したパンデミックの全容解明まで、予防的恩赦を与えるべきでない。

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