【サンパウロ綾村悟】中米パナマのムリノ大統領は20日、パナマ運河の管理権を米国に返還することはないと再度強調した。トランプ米大統領が、同日の就任式で言及したことに対応した。
ムリノ氏は、「パナマ運河とその管理権は、中立性を保ち、今後もパナマが保有し続ける」「いずれの国からもパナマへの内政干渉を認めない」と言明した。
同運河を巡ってはトランプ氏が先月、その管理運営に中国の影響力が増していると懸念を表明、また通航料が高過ぎると批判していた。米国は、同運河の最大の利用国。
通航料の適用は平等であり、管理権返還の交渉余地はない、とパナマ政府はトランプ氏の要求を突っぱねていた。
ムリノ氏の20日の発言は、パナマ運河の管轄について、パナマ政府の姿勢を再度示したものだが、一方、同日、運河の両端に位置する港を管理する香港系企業への監査を始めた。トランプ政権の懸念に対応したものとみられる。
パナマ運河は米国により、10年の歳月をかけて建設され1914年に開通した後、米国とパナマの共同管理などを経て99年にパナマに返還された。
パナマは2017年に台湾と断交し中国と国交を締結。パナマ運河の改修工事を含め、多くの中国資本が流れ込んでいる。