
――トランプ氏の就任後、米国は日本との関係で何を求めてくることが予想されるか。
トランプ次期米大統領の政策で、日本にも影響があるのではと懸念しているのが不法移民問題だ。不法移民は約3000万人とも言われ、どんな人間が入国しているのか、米国側も把握しきれていない。不法移民による犯罪被害は深刻化しており、また貧しい米国人の働き口も奪われている。

不法移民の強制送還自体は賛成だが、現実的な問題として、不法移民がいなくなると米国経済が大打撃を受けてしまう。低賃金で働く3000万人の労働力を一気に失えば、米国は果たしてどうなるのか。
もし米国内で経済的な行き詰まりが生じれば、そのしわ寄せが「もっと米国の商品を買うべきだ」などといった日本への要求として押し寄せてくるかもしれない。そういった悪循環が生じてしまう可能性はある。
――1期目のトランプ氏と安倍晋三元首相の関係は良かったが、今の日本にトランプ氏との交渉役たる存在はいるだろうか。
トランプ前政権時の自民党と比べれば、日本国民も自民党への信頼が薄まってしまった。石破茂首相とは以前、直接会ってお話を伺うことがあった。彼はとてもフレンドリーな人柄で、人としては嫌いにはなれないタイプの人物だ。だが、政治家としては安倍氏のような卓越した政治家と比べてしまうと、器が物足りなく感じる。
少なくとも今の自民党には、トランプ氏の相手ができる人物はいないのではないか。
――今後、米中対立が激しくなることが予想されるが、日本としての立ち回りは。
悪魔のような中国共産党の抑止は不可欠だ。日本国内で暗躍する中国人を、警察が取り締まれる法律も整えるべきだろう。
しかし、日米では「抑止」に微妙なニュアンスの違いがあることを理解する必要がある。米国の意図する「抑止」の場合、人種差別的な意識が少なからず含まれている。非白人の台頭への不安感は日本人には想像しづらいだろう。
日本の中では「米国に挑もうとする中国はけしからん」というような、米国人寄りの発想で中国批判をする人たちがいるが、白人至上主義の一角を担ってしまっている名誉白人発想に見える。
――トランプ氏の任期内に、拉致被害者などの北朝鮮問題解決の道筋は見えるだろうか。
拉致被害者の問題は、日本人が直接北朝鮮と交渉して解決すべき問題だ。地政学的な目的が違うから、米国の協力があればあるほど困る。なので、北朝鮮と交渉のための日朝連絡事務所にも反対する者は、結局ワシントン側にすぎない。
――大統領選前、トランプ氏批判を繰り返す日本メディアには、日本人からも違和感を覚える声が出ていた。
日本のメディアの多くは反日や極左のプロパガンダなので、反トランプに傾きやすい。NHKでも米大統領選挙前、ナチスのゲッペルスをテーマにした番組を流していた。最後の辺りで、トランプ支持者たちの映像を流した上で、ナチスの精神は今も続いているというような編集がされていた。
そういった極端な番組が流れること自体、反日メディアがトランプ氏の再登場に焦っている証拠だ。こういういいかげんなメディアの思想を、トランプ氏が間接的に露(あら)わにしたとも言える。
トランプ氏が8年前に表に出てきたとき、私は彼の力強さは心強かった。「日本版トランプ」と呼べるような政治家が現れれば、日本国民も自分の国からディープステートを追い出すだろう。
(聞き手=石井孝秀)
=終わり=