
【ワシントン山崎洋介】トランプ次期米大統領から国務長官に指名されたマルコ・ルビオ上院議員の人事承認公聴会が15日、上院外交委員会で開かれた。対中強硬派として知られるルビオ氏は、中国を「米国がこれまでに直面した中で最も強力かつ危険な敵対国」だと指摘。中国による台湾侵攻にも危機感を示し、抑止のための対応が急務だと訴えた。
ルビオ氏は「われわれは中国共産党を国際秩序に迎え入れた。彼らはその恩恵をすべて享受したが、義務と責任をすべて無視した。それどころか、うそをつき、不正を働き、ハッキングし、盗み、世界の超大国の地位を築いた」と厳しく批判。さらに「今のままでは、あと10年もしないうちに、血圧の薬から鑑賞する映画などすべてを中国に依存することになる」と警鐘を鳴らした。
中国による台湾侵攻については、「劇的な変化がない限り、この2020年代に対応を迫られることになる」と警告。抑止するために「台湾を侵略するコストを利益よりも高くする」ことが重要だと訴えた。
長期化しているウクライナ戦争については、ロシアが「ウクライナ全土を奪うことはできない」とする一方、ウクライナにも兵士が不足しており、ロシアを完全に打ち負かすことは「非現実的」だと指摘。戦争を終結させるために双方が譲歩する必要があるとした上で、和平協定はロシアのプーチン大統領が侵略を再開できないことを保証するものでなければならないとも強調した。
トランプ氏が防衛費の負担が少ないなどとして批判する北大西洋条約機構(NATO)については、「非常に重要な同盟だ」との考えを示した。その上で、加盟国が防衛においてより大きな役割を果たすべきだとした。
ルビオ氏はまた、ロシアやイラン、北朝鮮について「独裁者が混乱と不安定を煽(あお)り、過激なテロ集団と手を組み、資金を提供している」と非難。混沌(こんとん)とした世界情勢の中、自由な世界を再び築いていく必要があるとし、「それには米国が強く自信に満ちあふれ、世界に関与することなしには不可能」だと訴えた。
ルビオ氏は外交委員会の委員を14年間務めており、党派を超えた信頼を集めていることから、早期に承認される見通しとなっている。