11月の米大統領選挙では、「大接戦」との大方の予想に反し、トランプ前大統領がハリス副大統領を破り圧勝した。こうした中、ラスムセン・リポートは直前の調査で、投票総数でトランプ氏が3ポイントリード、接戦州では拮抗(きっこう)するミシガン州を除きすべてトランプ氏優勢とし、概(おおむ)ねその通りの結果となった。同リポートの調査ディレクターを務めるマーク・ミッチェル氏に今回の選挙戦の実情について聞いた。(聞き手・ワシントン山崎洋介)
――大統領選直前にあなたは動画で「トランプ氏が圧勝し、恐らく激戦州で全勝するだろう」と予想した。そう断言できた理由は。
私は、われわれの世論調査が他の調査よりも正確であると理解していた。
7月にバイデン大統領が大統領選から撤退する前の段階では、他の世論調査はトランプ氏がバイデン氏を5ポイント程度リードするようになり、われわれの調査と概ね一致していた。
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民主党候補がハリス氏に代わった後、われわれの調査では差は2ポイント程度まで縮まったが、トランプ氏がリードを保っていた。しかし、他の世論調査ではハリス氏が逆転し、4~6ポイントリードするという結果が出ていた。
私はこれらが、完全に偽りであると考えていた。ハリス氏は候補者としてバイデン氏と大きな違いはなく、トランプ氏は過去10年間にわたって一貫して強固な支持層を持っていたと考えていたからだ。
また、各陣営からのリークにより内部世論調査の結果について聞いたが、それはわれわれの調査結果と一致していた。つまり、各候補者が実際に活用している調査がわれわれの結果と一致していたのだ。だから公開されている世論調査が明らかに偽りであり、何が起きているのか理解できた。
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――世論調査会社が、ハリス氏を後押しするために意図的に同氏に勢いがあるように見せようとした可能性があるということか。
そう考えている。意図的なものもあれば、ある種の確証バイアスも含まれている。
バイデン氏が候補者だった今年4月から6月にかけて、政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティックス」(RCP)が集計した世論調査平均値で、トランプ氏が1~2ポイント程度しかリードしていない時期があった。一方で、われわれの調査では、その時期にトランプ氏はバイデン氏に5~7ポイントリードしていることを示していた。
しかし、6月下旬のトランプ氏とバイデン氏によるテレビ討論会の後、まるで許可を得たかのように、RCPにおける両氏の支持率の差が急に開き始め、われわれのデータに近づいた。しかし、われわれのデータは、討論会後もほとんど変化せず、むしろわずかに差が縮まったぐらいだった。
だから私は、討論会を見てトランプ氏が勝つことを心配し始めた業界が、バイデン氏を撤退させるために共謀していると考えた。
また、われわれの調査では、バイデン氏撤退後にハリス氏に対するトランプ氏のリードは7月下旬の5ポイントから、8月下旬には2ポイント程度まで縮まったが、最後までそれが維持された。私はこれが今回の選挙戦の実態だったと考えている。
しかし、RCPの平均支持率の推移を見ると、バイデン氏撤退前はトランプ氏が3・5ポイント程度リードしていたが、ハリス氏が候補になると同氏がトランプ氏を2ポイント程度リードするようになり、5ポイントも変動した。