【ワシントン山崎洋介】米大統領選は5日、投開票が行われ、複数の米メディアは共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)が民主党のハリス副大統領(60)に勝利し、当選を確実にしたと報じた。トランプ氏は6日未明、南部フロリダ州ウエストパームビーチでの演説で勝利宣言し、「今夜、われわれは歴史をつくった。誰もが不可能と思っていた障害を克服した」と語った。
トランプ氏は2021年1月に大統領退任後、2度目の弾劾訴追を受けたほか、23年には四つの刑事訴追を受け、今年5月、うち一つで有罪判決を受けた。
その後、2度の暗殺未遂事件を乗り越えて、大統領へ返り咲くという「歴史的な復活劇」(米メディア)を果たした。
CNNなどによると、トランプ氏は、七つの激戦州のうち、南部ジョージア、ノースカロライナ、中西部ペンシルベニア、ウィスコンシンで勝利を確実にした。これにより、計538人の選挙人のうち、トランプ氏の獲得が、過半数(270人)を上回る見通しとなった。残る3州でもトランプ氏がリードしており、圧勝の勢いだ。
トランプ氏は総得票数でもハリス氏をリードしており、維持されれば、共和党大統領候補としては04年のブッシュ(子)元大統領以来のこととなる。
演説でトランプ氏は、「史上最高の政治運動だった。これから国を癒やすため、この運動を新たな次元に引き上げるつもりだ」と強調。その上で「強く、安全で、繁栄した米国にするまで、私は休まない。米国は黄金時代を迎える」と訴えた。
選挙戦でトランプ氏は、バイデン政権の経済政策や不法移民対策を鋭く批判。ヒスパニック系や黒人からの支持が拡大した。特にヒスパニック系の男性は、CNNの出口調査によれば今回、トランプ氏に54%、ハリス氏に44%投票した。前回20年は、トランプ氏が36%にとどまっていた一方、バイデン氏に59%投じられており、4年間で劇的に変化した。
敗れた一方のハリス氏は、選挙戦で「前進し、新たなページをめくる」と訴え、女性や若者からの支持拡大を図ったが、バイデン政権下のインフレ、不法移民問題への有権者の不満が根強く、得票が伸びなかった。同氏は5日夜に予定していた演説も見送った。