トップ国際北米【連載】トランプVSハリス 決戦前夜(上)「トランプが米国救う」経済政策に支持者ら期待

【連載】トランプVSハリス 決戦前夜(上)「トランプが米国救う」経済政策に支持者ら期待

11月5日の米大統領選まで1カ月を切った。激戦州とされる7州の中で、最大の票田となる東部ペンシルベニア州(選挙人19人)は、勝敗を左右する州として、特に注目される。共和党候補のドナルド・トランプ前大統領(78)と民主党候補のカマラ・ハリス副大統領(59)が、最後の追い込みをかける中、有権者の声を聞いた。(山崎洋介)
ト ラ ン プ 前 大 統 領 の 集 会 会 場 前 で こ ぶ し を 突 き 上 げ る ポ ー ズ を 取 る ジ ョ ナ サ ン ・ マ ー テ ィ ン さ ん ( 中 央 ) 9 月 23 日 、 ペ ン シ ル ベ ニ ア 州 イ ン デ ィ ア ナ

同州西部の都市ピッツバーグから車で東に1時間、州立大学を中心とした小さな町、インディアナがある。そこで先月23日、トランプ氏が大規模集会を開いた。

同州西部は、ピッツバーグを除いて、共和党寄りだ。この日、開場の2時間以上前には、熱心なトランプ支持者たちが、駐車場まで続く長い列をつくった。

「トランプを支持する」と書かれた米国旗柄のTシャツを着たジョナサン・マーティンさん(29)は、記者がカメラを向けると、7月の暗殺未遂事件の際のトランプ氏の姿をまねて、拳を突き上げて見せた。

子供の頃から、トランプ氏がホストを務めたテレビ番組「アプレンティス」を見て、当時からファンだったという。今は、近くの薬剤関連企業に勤めるジョナサンさんは、「トランプは庶民の味方だと思う。なぜかよく分からないが、ずっとそう感じてきたんだ」と親近感を語る。最大の関心事は経済で、「今、経済は史上最低で、物価は史上最高だ。トランプは、それを立て直すやり方を知っている。中間層の男としては、それこそが望みだよ」と期待を示した。

バイデン政権下で生活が悪化したとして、トランプ氏の返り咲きを切望する支持者は他にも多くいた。

トランプ前米大統領=9月23日、米ペンシルベニア州(UPI)

「彼は経済を成長させて、中産階級が家を持ちやすくしてくれた。でも、今は経済がとても悪い」。「トランプ、アメリカのヒーロー」と書かれたプラカードを手にしたパティ・ クヴォルテックさん(57)はこう述べ、「彼が米国を救ってくれると思うわ」と力を込めた。

この日は5000人収容できる会場に来場者が入り切れず、多くの人々が屋外の大型スクリーンを通して演説を聞いた。こうした集会を通して、トランプ陣営が目指しているのは、新たな支持者の掘り起こしだ。トランプ氏は演説でも、「少なくとも1人の有権者を見つけ、投票に行かせることを約束してほしい」と呼び掛けた。

会場周辺では、参加者に有権者登録を呼び掛ける活動をしていた2人組と出会った。共にサングラス姿にあごひげを伸ばし、筋肉質な体型。赤いTシャツを着ており、その中央には拳を掲げたトランプ氏が描かれた円形のロゴが入っている。

そのうちの一人、ニック・パシーノさん(37)は、「どこに行っても多くの人が登録している。以前は政治に興味なかったけど、今、国境管理の欠如や、急激なインフレが、自分たちの生活に影響を与えていると実感している人たちがたくさんいるんだ」と熱を込めて語る。

ニックさんたちは、保守派活動家、スコット・プレスラー氏が率いる「早期投票アクション」の一員だ。このグループは今回の選挙戦で特に同州に重点を置いた草の根活動を展開しており、イベントで有権者登録を促しているほか、戸別訪問、電話かけ、オンライン活動などを行っている。

ニックさんももともと政治に関心がなかったが、今回、仕事をやめ活動に加わったという。「彼ら(民主党)が政権を取ってから、戦争があちこちで起こり、インフレが進み、すべてが混乱している。人々はもううんざりしているんだ。ただ平和に暮らして、家が持てるようになりたいだけなんだ」とその思いを語る。

「若者票」に伸びしろ

共に活動するデビン・ダシュノーさん(32)も「夏の初めから活動に参加したが、集会の規模はどんどん大きくなっている。みんな現状にうんざりして、目を覚まし始めている。トランプが俺たちの進むべき道だと気付いているんだ」と手応えを示した。

会場前で有権者登録を呼びかける「早期投票アクション」のデビン・ダシュノーさん

現在、登録有権者のうち民主党員は約395万人なのに対し、共和党員は約362万人。ただ2020年に比べると、民主党員は約23万人減少しているのに対し、共和党員は約11万人増加し、その差は着実に縮まっている。

同州は20年にバイデン大統領が、8万票ほどの差で勝利した。有権者登録を呼び掛ける地道な取り組みが、結果に影響を与える可能性も十分にありそうだ。

一方、トランプ氏の大きな課題は、若い女性からの支持が低いことだ。今回は、集会の会場となったのが、州立インディアナ大学内のアリーナということもあり、「TRUMP」と書かれたピンクの帽子をかぶった女子学生たちも訪れていた。

同大生のローレンさん(20)は、「多くの人は、トランプが女性を嫌ってるとか、女性を支持していないなどという批判に惑わされがちだけど、よく調べてみると、そうではないと分かる」と語る。トランプ氏は、トランスジェンダー選手を女子競技から「締め出す」としているが、これについてローレンさんは、「生物学的に女性と比べて有利な立場にある人がスポーツに参加するのは問題だと思う。一生懸命トレーニングしてきた女性たちが、遺伝的な理由で相手に負けてしまうのは、公平じゃない」と支持した。

トランプ前大統領の集会に参加したペンシルベニア州立インディアナ大学学生のローレンさん(右)とアレックス・アルベックさん

また、同大生のロニー・リー・シェイファーさん(18)は、トランプ氏について「とても率直で物事をオブラートに包まないところがいい」と語る。一方で、学生のうち多くがハリス氏を支持しているとし、「多くの女性がカマラを支持するのは、彼女が人工妊娠中絶を支持しているからだと思う。だけど、彼らは不法移民問題への対応など彼女の他の政策の問題を無視している」と訴える。

集会の翌日、同大キャンパス内で、学生たちに話を聞いてみると、ハリス氏への投票に傾いている3人に出会ったが、迷いも見られた。

このうちテレサさん(19)は、トランプ氏については「彼の政策の多くは、一部の特権的な人たちを助け、国民のためにはなっていないと感じる」と批判的だ。一方、ハリス氏について投票するかはまだ決めていないと言う。

テレサさんは「彼女の政策は適切なように思える。ただ、彼女は候補になって間もないから、彼女の政策や大統領として何をしようとしているのか実はあまりよく知らない」と語る。

ハーバード大学行政大学院が先月24日に発表した世論調査によると、18~29歳の有権者の間で、ハリス氏の支持率は46%で、29%だったトランプ氏をリード。ただ、18%が誰に投票するか未定だ。両候補が、こうした若者票を取り込めるかも大きな焦点となる。

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