【ワシントン山崎洋介】米南部フロリダ州で15日、ゴルフをしていたトランプ前大統領を銃撃しようとしたとして、58歳の男が拘束された。トランプ氏にけがはなかった。連邦捜査局(FBI)は暗殺未遂の疑いがあるとして捜査している。(5面に関連記事)
捜査当局によると、15日午後1時半(日本時間16日午前2時半)ごろ、大統領警護隊(シークレットサービス)が低木から突き出ているライフルの銃口に気付き、4~6回発砲した。容疑者が銃撃に及んでいたかどうかは不明。
容疑者はトランプ氏から365~460㍍離れた距離にいた。容疑者は、銃を置いて車で逃げたが、その後拘束された。
トランプ氏は事件後に声明で「私は無事で元気だ」と強調。その後、自身のソーシャルメディアへの投稿で、警護に当たったシークレットサービスの職員らについて、「その仕事は実に見事なものだった。米国人であることを非常に誇りに思う!」と感謝の意を述べた。
米メディアによると、拘束されたのはライアン・ラウス容疑者。ロシアの軍事侵攻を受けるウクライナを支援する活動に携わっていた。またトランプ氏を民主主義の脅威と見ていたという。
トランプ氏は7月、東部ペンシルベニア州バトラーで開かれた選挙集会で演説中に銃撃され、右耳を負傷していた。これについては、警備体制の不備が問題視され、議会で超党派の調査が進められている。今回、共和党議員は、容疑者がトランプ氏の周辺まで近づいていたことについて、シークレットサービスの対応を批判している。
事件は、トランプ氏がフロリダ州ウエストパームビーチに所有するゴルフ場で起きた。トランプ氏がFOXニュースの司会者、ショーン・ハニティー氏に語ったところによると、銃声直後に警護官がトランプ氏に覆いかぶさった。その後、警護官はトランプ氏をクラブハウスに誘導したという。
バイデン大統領は15日夜に声明を出し、警護隊の働きを称賛した上で、トランプ氏が無事だったことに「安堵(あんど)している」と表明。11月の大統領選でトランプ氏と対決するハリス副大統領も声明で、「トランプ前大統領に対する暗殺未遂の可能性について深く憂慮する。私は政治的暴力を非難する」と述べた。