【ワシントン山崎洋介】バイデン米大統領(81)は21日、11月の大統領選挙での再選を断念し、選挙戦から撤退する考えを表明した。後継候補には、バイデン氏が支持を表明したカマラ・ハリス副大統領(59)が、有力視される。
米メディアによると、再選を目指す現職の大統領が選挙戦から撤退するのは、1968年のジョンソン大統領以来。同大統領は本選まで約7カ月での辞退となったが、バイデン氏は本選まで約3カ月で辞退するという異例の事態となった
バイデン氏は、X(旧ツイッター)に投稿した声明で、「私が選挙戦から退き、残りの任期は大統領としての職を全うすることが、わが党や国家にとって最善だと信じる」と述べた。週内に、国民に向けて決断の理由について説明するとした。
バイデン氏は、先月下旬のトランプ前大統領(78)との大統領選テレビ討論会で、高齢不安を露呈。その後、大口献金者や民主党有力者がバイデン氏に辞退を促すなど、圧力が高まっていた。
ハリス氏は声明で、「バイデン大統領の支持を得られたことを光栄に思う。この指名を勝ち取ることを目指す」と意欲を示した。ハリス氏を支持したバイデン氏はXで「民主党員よ、今こそ団結してトランプ氏を打ち負かす時だ」と呼び掛けた。
一方、共和党候補のトランプ前大統領は、CNNの電話インタビューで、バイデン氏について「史上最悪の大統領」だと改めて批判。ハリス氏が相手となったとしても、「ジョー・バイデンよりも簡単に打ち負かされるだろう」と余裕を見せた。
ハリス氏は、すでに後継候補になるための支持を固めつつある。クリントン元大統領のほか、大統領候補として名前の挙がるカリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム氏、ウォーレン上院議員やオカシオコルテス下院議員など有力な急進左派議員らの支持を得ている。
一方、米メディアによると、民主党を離党し、現在は無所属のマンチン上院議員が出馬の可能性を探っている。その場合、民主党員へ再登録することを検討しているという。民主党全国大会は来月19~22日まで中西部イリノイ州シカゴで開催され、正式に大統領選候補を指名する。