【ミルウォーキー(米ウィスコンシン州)山崎洋介】11月の米大統領選に向けた共和党全国大会は18日、最終日を迎え、大統領候補に指名されたトランプ前大統領が指名受諾演説を行った。13日に銃撃事件によって負傷してから初の演説で、トランプ氏は「米国全体のための大統領になる」と誓い、党派を超えて国民の支持を得る大統領を目指す考えを示した。
トランプ氏は冒頭で、「社会の不和と分裂は癒やされねばならない。米国人として、われわれは一つの運命と共通の宿命で結ばれている」と国民の結束を呼びかけた。その上で「私は米国の半分ではなく、米国全体の大統領になるため立候補している。半分のために勝っても、それは勝利ではない」と述べ、大統領候補への指名受諾を表明した。
トランプ氏は暗殺未遂事件についても語り、銃撃の直前に頭を動かしていなければ「私はこの場にいなかっただろう」と強調。「私がこの会場で皆の前に立っているのは、全能の神の恵みによるものだ」と訴えた。
演説は90分以上に及び、自身の持つ2016年の記録を超え、史上最長の指名受諾演説となった。前半では融和姿勢を前面に出したものの、その後はインフレや不法移民問題、安全保障問題などをめぐってバイデン政権下で「国家が衰退している」として政権批判を展開した。
不法移民については、「南部国境への大規模な侵略であり、悲劇や犯罪、貧困、病気、破壊を米国中に広めた。誰も見たことがないほどだ」と指摘。「国境を閉鎖し、壁を完成させ、不法移民の危機を終わらせる」と誓った。
インフレについては、「労働者や低所得者層の収入を圧迫し、かつてないほど国民生活を困難にしている」と指摘。石油・ガス開発を推進してエネルギーコストを引き下げるなどして、「壊滅的なインフレ危機を直ちに終わらせる」と訴えた。
また世界情勢については、現在「第3次世界大戦の瀬戸際」との認識を示した上で、「私が大統領だったら決して起こらなかったであろう、ロシアとウクライナの恐ろしい戦争など、現政権がつくり出したすべての国際危機を終わらせる」と主張した。