米など防空兵器5基供与

【ワシントン山崎洋介】北大西洋条約機構(NATO)首脳会議は10日、米首都ワシントンで2日目を迎え、ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、同国への軍事支援を中心に協議する。加盟国全体で来年も400億ユーロ(約7兆円)規模の支援を継続することで合意する見通しだ。
NATOのストルテンベルグ事務総長は首脳会議初日の9日、「攻撃的なロシアが隣国である以上、コストは避けられない。戦争においてリスクのない選択肢はない」と強調。その上で「ロシアがウクライナで勝利した場合こそ、最大のコストとリスクが発生することを忘れてはならない」と警告し、ウクライナ支援継続を訴えた。
バイデン米大統領は演説で、「歴史の今この瞬間、われわれの団結力が必要とされている。独裁者たちは、80年近くを数える世界秩序を覆そうとしている」と指摘。その上で「われわれの全面的な支援があれば間違いなく、ウクライナはプーチン(露大統領)を止めることができる」と述べ、支援継続を訴えた。
バイデン氏はまたドイツやオランダ、イタリアなどと共に地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット」など防空兵器5基をウクライナに供与すると表明したほか、今後数カ月でさらに数十基の防空兵器の支援を約束した。
ホワイトハウスの発表によると、ウクライナへの400億ユーロの軍事支援のほか、ウクライナの首都キーウ(キエフ)に常駐するNATO上級代表のポストを設けることや、ドイツに新たなNATOの司令部を設置し、訓練や装備、兵器開発でウクライナ支援を強化するなどの方針を打ち出す。