【ワシントン山崎洋介】中国の民主化を訴えた学生らが、軍によって弾圧された天安門事件から35周年となった4日、超党派の米議会議員と中国の民主派が米連邦議会議事堂前で記者会見を行い、中国共産党による自国民への弾圧を厳しく非難した。
米下院中国特別委員会のムーレナー委員長は、当時、天安門広場で民主化を求めた人々を「中国共産党は弾圧し、自由を求める声を押しつぶした」と指摘。その上で「中国共産党による最大の犠牲者は多数の中国人であり、何千万人が命を落とし、強制労働に従事させられている」と訴えた。
同委員会で民主党トップのクリシュナモーティ下院議員は、当時、戦車の前に立ちはだかった「戦車男(タンクマン)」と呼ばれる男性の写真を掲げ、戦車は「この男性と無数の人々の自由をつぶそうと考えた、凶悪で残忍な中国共産党の象徴」と指摘。その上で「新疆におけるウイグル人虐殺、チベット人の文化的虐殺、また天安門事件について黙殺してはならない」と呼び掛けた。
マッカーシー前下院議長も「戦車男」に言及し、「中国が自国民を戦車で狙うのが終わるまで、行く先々で彼をたたえ続ける」と強調した。ペロシ元下院議長は「米国人は中国の人権のために声を上げなければならない。経済上の理由からそうできないのなら、米国は世界中で人権について発言する道徳的権威を失う」と主張した。
また天安門事件で学生リーダーを務めた王丹氏は、「中国共産党体制は、暴力によってのみ維持される」とした上で、「米国など自由社会のすべての人々は、中国共産党が自由と民主主義の敵であることを知るべきだ」と訴えた。
中国民主化運動の父とも呼ばれる魏京生氏は、「反マルクス主義、親民主主義、親自由主義などの思想は世界に大きな影響を与え、やがてソビエト連邦の崩壊と東欧の民主主義革命を生み出した」と天安門における民主化デモの意義を強調した。