【ワシントン山崎洋介】岸田文雄首相は11日午前(日本時間12日未明)、2015年の安倍晋三元首相以来となる米議会の上下両院合同会議での演説に、英語で臨んだ。ロシアや中国により自由と民主主義に基づいた国際秩序が脅かされる中、「米国のリーダーシップは不可欠」として、引き続き中心的な役割を堅持するよう促した。そのために、日本は「米国と共にある」とも誓った。
「一部の米国民の心の中に、世界における自国の役割について、自己不信があることを感じる」。首相は、ウクライナ追加支援に反対する一部共和党議員や「米国第一」を掲げるトランプ前大統領を念頭にこう指摘した。
首相は「ほぼ独力で国際秩序を維持し、孤独感や疲弊を感じている米国民に語り掛けたい」と述べ、米国の状況に理解を示した上で、「米国は一人ではない。日本は米国とともにある」と述べ、議場の議員からスタンディングオベーションを受けた。
また、米国で党派を超えて最大の安全保障上の脅威だと認識される中国について「前例のない最大の戦略的な挑戦」だと強調。国内総生産(GDP)比2%の防衛費確保や反撃能力(敵基地攻撃能力)保有に向けた取り組みに触れ、「日米同盟を一層強固なものにするために、私自身が先頭に立って取り組んできた」と胸を張った。
さらに「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」とウクライナ支援の重要性を強調。ウクライナ支援を求めるバイデン氏を“援護射撃”した。
ただ、多くの議員が立ち上がり拍手を送る中、一部共和党議員は座ったままという場面も見られた。米国は、バイデン政権の下、不法移民が急増し、財政赤字も増大するなど、国内問題を抱えている。