
【ワシントン山崎洋介】米最高裁判所は4日、トランプ前大統領に大統領選挙への立候補資格がないとした西部コロラド州の判断を覆した。同州を含む15の州で投票が集中するスーパーチューズデーを前に、トランプ氏にとって大きな追い風となった。
コロラド州最高裁は昨年12月、2020年大統領選の敗北を覆そうとしたトランプ氏の言動が、21年1月6日の連邦議会乱入事件につながったと断定。国家への反乱に加わった者が官職に就くことを禁じる合衆国憲法修正14条3項に基づき、トランプ氏の同州大統領選予備選への立候補資格を取り消していた。
連邦最高裁判決は判事9人の全会一致によるもの。同裁は意見書で、一部の州が立候補資格を認めないことで、深刻な混乱を招き、「数百万人の投票を無効にし、選挙結果を変えてしまう可能性がある」と警告。「憲法は、われわれがこうした混乱に耐えることを要求していない」と断じた。この判断を受けて5日の同州予備選挙へのトランプ氏の立候補が認められた。
トランプ氏は、今回の判断についてソーシャルメディアで「米国にとって大きな勝利だ」と称えた。その後フロリダ州の自宅マールアラーゴで記者会見し、「投票によって私を排除することはできても、法的な手段で私を排除することはできない」と述べ、コロラド州最高裁の判断を改めて批判した。
またトランプ氏は会見で、自身が訴えられた刑事訴訟をめぐっても、連邦最高裁が同氏に大統領としての免責特権を認めることに期待を表明。「大統領は決断をしなければならないが、退任後に降りかかるあらゆる恐怖から自由でなければならない」と述べ、大統領特権が適用されるよう求めた。
最高裁は、20年大統領選挙の敗北を覆そうとしたとして起訴された裁判をめぐって、トランプ氏に免責特権が認められるかについて、4月下旬に口頭弁論を予定している。