浮世離れの米エリート層 怒る庶民、トランプ氏支持 世論調査で「分断」鮮明

トランプ前米大統領を熱烈に支持する有権者 2023年4月3日、米フロリダ州(UPI)

米社会の分断の根底にあるのは、政治的、経済的に大きな影響力を持つ高学歴・高収入のエリート層と一般庶民の対立だ。最近公表された世論調査結果で、両者の考え方には真逆とも言えるほど大きな相違があることが明らかになった。トランプ前大統領が庶民から熱烈な支持を集める背景には、「浮世離れ」したエリート層がリベラルな価値観を押し付けていることへの激しい怒りがある。(編集委員・早川俊行)

米保守派団体「繁栄を拓(ひら)く委員会」は先月、エリート層と一般庶民の考え方を比較した世論調査結果を公表した。それによると、社会や経済に対する両者の認識には「グランドキャニオン級の溝」(同委員会)があることが浮き彫りになった。

同委員会は、①大学院の学位を所持②年収15万㌦(約2200万円)以上③人口密度の高い地域に居住――の3条件を満たすエリート層と一般庶民をそれぞれ1000人ずつ調査。「家計は良くなっている」と答えた庶民は20%だったのに対し、エリート層は74%に上った。エリート層の中でもアイビーリーグ(東部の名門私立8大学)など名門大学の卒業生に限ると、その割合は88%に達し、庶民と懸け離れた裕福な生活を送っていることがうかがえる。

政府と個人の関係については、庶民の57%が「政府の管理が過剰」と主張したのに対し、エリート層の47%、名門大学卒業生の55%が「個人の自由が過剰」と回答。庶民は肥大化した政府が個人の自由を侵害していることに不満を強めているが、エリート層は逆に、政府による国民生活の管理強化という社会主義的な考え方に傾斜していることが分かる。

エリート層は気候変動対策で国民生活を規制することに積極的だ。ガソリン車を禁止することについて、エリート層の72%、名門大学卒業生の81%が賛成。庶民は24%にとどまった。ガスコンロ、重要でない飛行機旅行、スポーツ用多目的車(SUV)、部屋ごとにエアコンを設置する個別空調についても、エリート層は禁止に賛成、庶民は反対の傾向が鮮明だった。

学校での教育内容の決定権は誰が持つべきかについては、エリート層の67%、名門大学卒業生の71%が教員・教育専門家と回答したのに対し、庶民の45%は親と答えた。左翼色の強い教育内容に各地で保護者による反対運動が起きているが、エリート層と庶民の根本的な教育観の違いがその背景にある。

さらに驚くべきは、バイデン大統領の支持率の相違だ。バイデン氏を支持する庶民は44%であるのに対し、エリート層は実に84%に上った。エリート層にとって、バイデン政権は自分たちの価値観に沿った政権運営をしていると映っているようだ。

同委員会の共同設立者である保守系有力シンクタンク、ヘリテージ財団のスティーブン・ムーア特別客員研究員は、ワシントン・タイムズ紙への寄稿で、「エリート層と一般国民は、まるで二つの異なる国に住んでいるかのようだ」「エリート層は労働者階級や農村部よりも知的、文化的、道徳的に優れていると信じている」などと指摘した。

今年11月の大統領選は再び、「エリート層が推すバイデン氏」と「庶民が推すトランプ氏」の対立になる公算が大きくなっている。庶民感覚と乖離(かいり)したエリート層による国家運営に、草の根有権者はかつてないほどの怒りを募らせており、これがトランプ氏が熱烈な支持を集める大きな要因になっている。

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