【ワシントン山崎洋介】世界における宗教の自由を促進することを目指す「国際宗教自由(IRF)サミット」が米首都ワシントンで1月30日から2日間の日程で始まり、政府高官や政治家、宗教指導者、人権活動家らが参加した。
トランプ前米政権で国際宗教自由大使を務めたサム・ブラウンバック同サミット共同議長は、信教の自由について「人権の根幹をなすものであり、他の人権を繁栄させる土台だ」とその意義を説いた。一方で「拡大する権威主義体制や洗練されたテクノロジーという手段によって、この20年間で衰退の危機に瀕(ひん)している」と懸念を示した。
バイデン政権のラシャド・フセイン国際宗教自由大使は「宗教の自由を保護する国や社会は安全で繁栄する可能性が高く、保護しない国は不安定になりがちなことは、非常に明らかだ。データもそれを裏付けている」と指摘。その上で「信教の自由は、われわれの外交政策にとって不可欠なものだ」と主張した。
マイク・ペンス前副大統領は、昨年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃について「ユダヤ人に対するホロコースト以来の最悪の攻撃」だと非難。欧米などで反ユダヤ主義が増大する中、「われわれは宗教的偏見や反ユダヤ主義に反対し、地球上のすべての人々の信教の自由を支持する、ということを合言葉にすべきだ」と述べた。
同サミットの分科会では、中国・新疆ウイグル自治区におけるウイグル族らイスラム教少数派への強制労働やキリスト教徒に対するテロ行為が繰り返されるナイジェリアの問題など、世界各地で起きている宗教迫害が取り上げられた。
同サミットは今回が4回目で、米人権団体フリーダムハウスやインターネット交流サイト(SNS)最大手の米メタ(旧フェイスブック)のほか、ワシントン・タイムズ財団や天宙平和連合(UPF)などが協賛。2日目の31日には、マイク・ジョンソン下院議長による演説が予定されているほか、UPFなどが協賛する昼食会では、昨年10月に日本政府が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対して解散命令請求を行ったことを受け、パネルディスカッションが行われる。