【ワシントン山崎洋介】11月5日の米大統領選に向けた共和党の候補者指名争いの初戦となるアイオワ州党員集会が15日、州内各地で一斉に行われ、トランプ前大統領(77)が大差で勝利した。2位には、デサンティス・フロリダ州知事(45)、ヘイリー元国連大使(51)は僅差で3位だった。
99%の集計時点でトランプ氏が得票率51・0%、デサンティス氏が21・2%、ヘイリー氏が19・1%となった。トランプ氏は過半数の票を獲得した上、2位以下に30ポイント以上の差をつけた。1988年の共和党党員集会で約13ポイント差で勝利したボブ・ドール氏の記録を大幅に塗り替え、党内での強固な支持を印象付けた。
トランプ氏は支持者らを前に演説し、「米国が団結する時だ」と訴えた上で、「11月にわれわれは米国を取り戻し、再び偉大な国にする」と述べ、早くも本選を見据え勝利を誓った。
同州に多くの資金や時間を注いできたデサンティス氏は、2位に食い込んだ。3位以下になれば撤退に追い込まれる可能性も指摘されていた中、同氏は「われわれはアイオワからの(選挙戦を続けるための)切符を手に入れた」と述べ、第2選以降に望みをつないだ。
世論調査で支持率が上昇傾向だったヘイリー氏は、デサンティス氏の後塵(こうじん)を拝した。ただ、23日に実施されるニューハンプシャー州予備選では無党派層が多く、より穏健な立場とされるヘイリー氏は、トランプ氏との差を縮めている。ヘイリー氏は「米国民の70%がトランプ、バイデンの再対決を望んでいない」と強調した。
一時は勢いを見せた実業家のラマスワミ氏(38)は、得票率7・7%と4位に留(とど)まり、選挙戦からの撤退を表明。トランプ氏への「全面的な支持」を打ち出した。
党員集会の参加者は約11万人で、過去最多だった2016年の約18万6千人を大きく下回った。記録的な寒波による厳しい寒さが影響したとみられ、支持者の熱意や組織力で勝ったトランプ氏やデサンティス氏に有利に働いた可能性がある。
また、CBSニュースによる党員集会参加者への調査では、最も重要な争点として「移民問題」を挙げる人が40%と最も高く、続いて「経済」が35%だった。不法移民やインフレ対策を訴えてきたトランプ氏にとって追い風となったとみられる。
一方、民主党は今回、初戦を2月3日のサウスカロライナ州予備選に変更。アイオワ州では郵便投票のみによって候補を選出し、結果は3月5日に発表する。