米南部アラバマ州タスカルーサで7日に開かれた野党・共和党の第4回大統領候補者討論会で、支持率で2位を争うニッキー・ヘイリー元国連大使が他候補から激しい攻撃にさらされた。独走するトランプ前大統領以外では唯一、支持率を伸ばすヘイリー氏に他候補から激しい批判が集中した。
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ロン・デサンティス・フロリダ州知事は「ヘイリー氏の大口献金者は中国でお金を稼いでいる。彼女は肝心な時に彼ら(の要求に)に屈するだろう」と牽制(けんせい)。ヘイリー氏が最近、ウォール街の富豪や民主党の大口献金者からの資金提供を受けたことを激しく批判した。これに対してヘイリー氏は「デサンティス氏はただ嫉妬しているだけ。かつては自分を支援してたのが、今は私を支援しているからだ」と反撃した。
実業家のビベク・ラマスワミ氏は、ヘイリー氏の国連大使時代の経験について取り上げ、「国連でコーヒー1杯の仕事をしただけで800万㌦を稼ぎ、その後外交政策に携わった経験を持ったというのが売り文句だ」と主張。さらに手書きで「ニッキー=腐敗」と書かれたノートを掲げるなど、ヘイリー氏への攻撃を緩めなかった。対してヘイリー氏は「彼に返答するのは時間の無駄だ」とし、まともに取り合わなかった。前回の討論会でもラマスワミ氏はヘイリー氏の娘の話題などを槍玉(やりだま)に挙げ、ヘイリー氏の怒りを買っていた。
ヘイリー氏は、支持率で長らく2位だったデサンティス氏を追い抜くなど各種世論調査で支持率を伸ばしており、大口献金者が資金援助を公表するなど支持を広げている。ヘイリー氏は、討論の途中で批判が集中した際、「皆さんに注目されるのは大好きだ。ありがとう」と笑顔で軽くかわすなど余裕を見せた。
今回の討論会は、共和党主催の最後の候補者討論会になるとみられている。初戦のアイオワ党員集会まで残り6週間となり、各候補者は今後、世論調査の支持率や選挙資金などによって、選挙戦を継続するか判断を迫られる。党内では支持率が低い候補者は撤退して他候補の支援に回るべきだという圧力もあり、今後も脱落者が増える可能性がある。(桑原孝仁)