
【ワシントン山崎洋介】米下院司法委員会は8日、米国で反ユダヤ主義的な言動が広がる中、大学キャンパスにおける言論の自由に焦点を当てた公聴会を開催し、学生や専門家が証言した。傍聴席にいたパレスチナ支持の活動家による抗議行動のため、審議はたびたび中断した。
コーネル大学に在籍するユダヤ人女性アマンダ・シルバースタインさんは、「大学のキャンパス内やその周辺で、ほんの1カ月ほど前には想像もできなかったようなことを見聞きした」と述べ、先月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの大規模攻撃以降、反ユダヤ主義が高まっていると強調した。大学教授が公然とハマスによるテロ行為を正当化したり、ハマスの捕虜となったイスラエル人たちの解放を求めるビラを学生たちが破き、その上にイスラエルを非難する言葉を書き込んだりしていると訴えた。
同大学では、ユダヤ人に対する殺害やレイプをオンライン上で呼び掛けた学生が先月末に逮捕された。シルバースタインさんは、「教授や学生団体が憎悪の種を蒔(ま)き、それをキャンパス中に拡散させている」と指摘し、学生が逮捕された後も不安を感じていると語った。
公聴会では、傍聴席にいたパレスチナを支持する活動家が証人の発言中に立ち上がり、「パレスチナを解放せよ」「今すぐ停戦を」などと叫び、警察官に相次いで逮捕された。活動家の中には、口にテープを貼り、手のひらを赤く塗る者もいた。
「ルイス・D・ブランデイス法の下の人権センター」のケネス・マーカス理事長は、米国の大学では、ユダヤ人学生が自らの考えを表現することができない環境がつくられてきたと指摘。ハマスによるイスラエルへの攻撃以降、状況は悪化し、「政治的見解のためだけでなく、ユダヤ人であること故に敬遠され、疎外され、排除された」と語った。