
【ワシントン山崎洋介】ペンス前米副大統領は28日、2024年大統領選の共和党候補者指名争いから撤退すると表明した。かつての上司であるトランプ前大統領が指名獲得に向け独走を続ける中、ペンス氏の支持は低迷していた。同党有力候補で、初の撤退となる。
ペンス氏はラスベガスで開かれた会合で演説し、選挙戦で国内を巡った結果、「私の時ではないことがはっきりした」と表明。「多くの祈りと熟慮の末、本日をもって大統領選の選挙戦を一時中断することにした」と述べた。
今年6月に出馬を表明した保守派のペンス氏は、今回の大統領選を、トランプ氏のポピュリズムの戦いとして位置付けていた。9月に行った演説では「共和党の仲間たちに問いたい。われわれは保守主義の党となるのか、それとも保守主義の原則からかけ離れたポピュリズムの誘惑に従うのか。党の未来は、どちらか一方だ」と訴えた。
しかし、候補者が乱立する中、ペンス氏の主張への共感は広がらず、資金難にも直面していた。このため、来月予定されている同党候補者による3回目の討論会への参加基準を満たさない可能性も出ていた。
ペンス氏の撤退により、共和党の指名を争う候補者はトランプ氏のほか、実業家のビベック・ラマスワミ氏、フロリダ州知事のロン・デサンティス氏、前国連大使のニッキー・ヘイリー氏ら8人に絞られた。ただトランプ氏が圧倒的なリードを示す中、今後、ペンス氏に続き撤退する候補が出る可能性もある。
トランプ氏は集会でペンス氏の撤退について、「私は大統領として大成功を収めた時に、彼は副大統領だった。彼は私を支持するべきだ」と求めた。その一方で、「私は彼を副大統領に選んだが、政界の人間は非常に不忠になる場合がある」とも述べた。