
【ワシントン山崎洋介】米議会下院で25日、多数派共和党のマイク・ジョンソン議員が過半数の票を獲得し、議長に選出された。共和党内の対立により、約3週間続いた下院議長不在という異例の事態がようやく解消された。
ジョンソン氏は就任演説で、「議会は仕事を再開した」と宣言し、「われわれの使命は、この偉大で必要不可欠な議会に対する国民の信頼を回復するために奉仕することだ」と強調。その上で、「混乱と暴力が中東地域と東ヨーロッパを揺るがし、インド太平洋地域でも緊張が続いている。議会の強いリーダーシップが求められており、揺らいではならない」と訴えた。
米下院では、マッカーシー前議長が今月上旬に解任されて以降、共和党内での対立が続き、同党の3人の議長候補が相次いで撤退するなど、機能不全となっていた。その後、4人目の候補となったジョンソン氏はすべての共和党議員の支持を集めて過半数の220票を獲得し、1回目の投票で議長に選出された。
ジョンソン氏は保守的な立場を一貫して示してきており、人工妊娠中絶や同性婚に反対で、キリスト教保守系団体との関係も深い。現在3期目で比較的に無名だった同氏は、温厚な人柄で敵が少なかったこともあり、穏健派も含めた共和党議員の一致した支持を集めた。
ジョンソン氏はまた、来年の大統領選で共和党最有力候補のトランプ前大統領を支持する立場を示してきた。トランプ氏はジョンソン氏の下院議長就任を受け、「彼とは長い付き合いだ。彼はとてつもないリーダーであり、とてつもない男だ」と称(たた)えた。
ジョンソン氏は当面の課題として、政府閉鎖を回避するためのつなぎ予算の期限が来月17日に迫る中、新年度の政府予算案の調整に当たるほか、イスラエルやウクライナへの軍事支援を盛り込んだ緊急予算に取り組むことになる。共和党の中で見解が分かれるウクライナ支援については、ジョンソン氏自身も最近は消極的な姿勢を示しており、どう対応するか注目される。
バイデン大統領は声明で、ジョンソン氏を祝福した上で、「国家安全保障上の必要性に対処しつつ、22日後の政府閉鎖を回避するために迅速に行動する必要がある」と強調。さらに「重要な問題で意見の相違があっても、可能な限り共通点を見出(いだ)す努力を互いにすべきだ」と歩み寄りが必要だとした。