【ワシントン山崎洋介】米連邦議会の上下両院は9月30日夜、10月1日から始まる新年度の政府支出を45日間可能にする、「つなぎ予算」を可決し、バイデン大統領の署名を経て成立した。直前に迫っていた連邦政府機関の一部閉鎖はぎりぎりで回避された。
下院では、多数派を握る共和党内の保守強硬派がウクライナへの追加支援に反対するなどして協議が難航。政府閉鎖の可能性も現実味を帯びていた。
こうした状況の中、同党のマッカーシー下院議長は、ウクライナへの追加支援を除外する一方、党内強硬派が求めていた国境の警備強化策を盛り込まないつなぎ予算案を提出。政府閉鎖を望まない民主党議員も賛成に回り、賛成335票に対して反対91票で可決。その後、上院でも賛成88票に反対9票で可決した。
署名したバイデン氏は声明で、「米国民にとって朗報だ」と歓迎しつつも、「このような状況にはなるべきではなかった」と述べ、大幅な予算削減を求めてきた「過激な」共和党強硬派とマッカーシー氏の対応を批判した。
またウクライナ支援が除外されたことについては、「いかなる状況においても、ウクライナに対する米国の支援が中断されることは容認できない。下院議長がウクライナの人々を支援するという約束を守り、必要な支援策を可決してくれることを大いに期待している」と強調した。
つなぎ予算により、政府閉鎖は当面回避されたが、ウクライナ支援や予算規模を巡って今後も対立が予想される。つなぎ予算の期限となる11月17日までに、新年度予算を成立させることができるかは不透明だ。
共和党強硬派の一部は、マッカーシー氏が民主党に歩み寄ったことに不満を示しており、同氏に対する解任動議が出される可能性も取りざたされている。ただマッカーシー氏は記者団に、「誰かが私に対して動議を出したいのなら、そうしてほしい」と述べるなど、余裕を見せた。