
【ワシントン山崎洋介】米共和党のマッカーシー下院議長は12日、バイデン大統領が息子ハンター氏のビジネスに不正に関わっていた疑いなどをめぐり、弾劾に向けた調査を開始すると発表した。疑惑について、下院監視・説明責任委員会と司法委員会、歳入委員会に調査を指示した。
マッカーシー氏は、「下院共和党は、バイデン大統領の行動に関する重大かつ信頼できる疑惑を明らかにした」と強調。バイデン氏がハンター氏のビジネスについて知らないと「嘘をついた」ことやバイデン氏一族らが外国企業から2千万㌦近い支払いを受けたことをなどを指摘し、「これらは権力の乱用、妨害、汚職の疑惑であり、下院によるさらなる調査を要する」と主張した。
弾劾に向けた調査の開始は、共和党内の保守強硬派に高まっていた声に応じた形だが、一方で党内の一部穏健派議員はバイデン氏の不正を示す直接的な証拠はないとして慎重姿勢を示している。仮に下院が弾劾訴追の決議案を可決しても、上院での弾劾裁判では出席議員の3分の2の賛同がなければ有罪にはできず、民主党が上院の多数派を占める中、実現の可能性は低い。
マッカーシー氏は当初、弾劾調査を開始する場合には正式な投票を行うとしていたが、党内にある慎重論も踏まえ、実施されない見通しだ。