トップ国際北米中国、米小中高校にも影響工作 各地に「孔子教室」設置

中国、米小中高校にも影響工作 各地に「孔子教室」設置

教育現場への浸透に共和党議員ら警戒感

米国の小中高校が中国政府の教育機関「孔子教室」を通じて資金援助を受けていたことが明らかになり、波紋を呼んでいる。中国政府による教育現場への浸透に警戒感を強める共和党議員らは対応に乗り出している。(ワシントン・山崎洋介)

草の根の保守系団体「教育を守る親の会」(PDE)は7月下旬に「小さな赤い教室」と題する報告書を発表し、中国政府が少なくとも2009年以降、孔子教室などを通じた財政援助や姉妹校提携などのプログラムを通じて米国の公立学校と関係を築いてきたと指摘した。こうした関係は、少なくとも34州と首都ワシントンの143学区に及び、計1700万㌦(約25億円)以上を受け取っていたという。

報告書によると、中国政府は、全米でトップクラスの科学技術高校3校とも関係を築いてきた。このうち、ノースカロライナ科学数学学校は、孔子教室プログラムを通して、15~20年まで中国の政府機関「漢弁」から資金提供を受け、18年には「今年の孔子教室」賞を受賞した。

また、バージニア州の名門校トーマス・ジェファソン科学技術高校に関連する非営利団体が、中国軍との強い結び付きを持つ中国の清華大学から少なくとも25万㌦を受け取り、同高校の教育モデルに基づいた同大学付属高校を中国で設立する支援をした。

また報告書は「懸念すべきことに、中国共産党は20の米軍基地近くの学区を標的にしているようだ」と指摘している。この中には、バージニア州のノーフォーク海軍基地やテキサス州のラックランド空軍基地の周辺地域が含まれるという。

PDEは3月にも報告書を発表しており、トーマス・ジェファソン科学技術高校が中国系団体から100万㌦以上の寄付を受け取っていたことを明らかにしていた。今回の報告書では、中国の影響工作への警戒感が高まる中、全米の小中高校に調査対象を広げた。

大学に設置されている中国政府系教育機関「孔子学院」を巡っては、中国による宣伝工作やスパイ活動への懸念から、トランプ前政権時に閉鎖する動きが加速した。一方で、中国は小中高校における孔子教室の推進にも力を入れており、米上院の調査小委員会による19年の報告書によると、当時米国に孔子教室は500以上あり、その拡大は「中国にとって最優先事項」だとしている。

PDEのニッキー・ネイリー代表は、「トランプ政権は大学における孔子学院を制限する措置を取った。しかし、幼稚園から高校までの教育レベルでは、このような透明性確保のための義務付けがないのは恐ろしいことだ」と指摘し、連邦・地方議員らに早急な対応を求めた。

この報告書を受けて、議員らは対応に乗り出している。次期大統領選に立候補しているティム・スコット上院議員ら18人の共和党上院議員のグループは8月下旬に、カルドナ教育長官に書簡を送り、「中国共産党によるプロパガンダが拡大するのを黙って見ているわけにはいかない」と主張。中国共産党の資金が幼稚園から高校までどの程度流れているのか、「徹底的かつ全国的な調査を行う」よう訴えた。

ニューヨーク州では、公立学校やニューヨーク市教育局など12の機関が中国政府から資金を受け取っていることが判明している。同州選出のエリス・ステファニク下院議員(共和党)らは、ホークル州知事(民主党)に書簡を送り、「中国と米国との敵対関係を考慮すれば、これは深い問題であり、私たちの有権者と州にとって安全保障上の懸念事項だ」と指摘し、説明を求めた。

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