【ワシントン山崎洋介】ガーランド米司法長官は11日、バイデン米大統領の次男、ハンター氏(53)に対し政権から独立して捜査を行う特別検察官にワイス連邦検事を任命すると発表した。ハンター氏には海外のビジネスにおける不正疑惑がある。来年の大統領選で再選を目指すバイデン氏に、今後の捜査がどう影響を与えるか注目される。
ガーランド氏は記者会見で「この問題に関連する特殊な状況を考慮して、特別検察官として任命することが公益にかなうと結論付けた」と述べた。ワイス氏側から特別検察官の立場を求めてきたと説明した。特別検察官は、大統領や閣僚が不正に関与した疑いがある場合に任命され、独立して捜査を行う権限が与えられる。
ワイス氏はこれまでも、ハンター氏の捜査を担当してきた。ワイス氏は6月、銃を違法に所持していた罪などでハンター氏との間に有罪を認める代わりに実刑を求めない司法取引を交わしていたが、連邦地裁は先月、合意条件を認めず保留とした。この司法取引について野党・共和党は、司法省が大統領の身内に甘いなどとして、批判を強めていた。
ハンター氏に対する捜査を巡っては、内国歳入庁(IRS)の2人の内部告発者が先月、議会で証言し、ハンター氏に対する捜査が司法省からたびたび妨害を受けたと主張した。その証言によると、ワイス氏は、バイデン氏によって指名された2人の連邦検事がハンター氏の起訴を阻止されたと述べたほか、特別検察官の地位に就くことを要求したが拒否されたなどと語っていたという。
ワイス氏を特別検察官に任命するという発表は、こうした疑惑に対し、共和党側が追及姿勢を一段と強める中で起きた。ワイス氏を特別検察官にした理由は、共和党が求める同氏の議会証言を拒否できるようにするなど、追及をかわすためとの見方もある。