
【ワシントン山崎洋介】自宅への機密文書持ち出しを巡りスパイ防止法違反の罪などで起訴されたトランプ前米大統領は14日、南部フロリダ州の裁判所で罪状認否に臨み、無罪を主張した。その後行った演説でトランプ氏は2024年大統領選への「選挙妨害だ」と批判し、政治的な動機に基づいた不当な起訴だと主張した。
トランプ氏は、国防情報の意図的な所持や司法妨害などの罪に問われ、8日に起訴された。米メディアによると、トランプ氏側は14日、マイアミの連邦裁判所で罪に問われている37件についてすべて無罪を主張した。
その後、東部ニュージャージー州で演説したトランプ氏は、「ファシストや共産主義の国そのもののような政治的迫害だ。この日は悪名高く語り継がれ、ジョー・バイデンはわが国の歴史上最も腐敗した大統領として永遠に記憶されるであろう」と強い不満を表明。「私は法律より上だと思っているのではなく、法律に従う人間なのだ」とし、無実を改めて訴えた。
また、次期大統領選の共和党指名争いでトップを走るトランプ氏は、「この国を救えるのは私しかいない」と強調。「(大統領選が実施される)2024年11月5日に正義が下される。われわれは国を取り戻し、米国を再び偉大にするのだ」と呼び掛けた。
トランプ氏は3月、不倫の口止め料の支払いを巡りニューヨーク州の大陪審に起訴されており、今回が2回目の起訴となる。しかしこれまでのところ、トランプ氏への共和党内の支持は固く、幾つかの世論調査ではバイデン大統領も上回っている。
11日に発表されたCBSニュースなどの世論調査によると、共和党有権者の61%が、起訴はトランプ氏に対する見方を変えなかったと回答し、80%は同氏が裁判で有罪判決を受けても24年の大統領選に勝てば就任できるべきだとした。
一方、大統領選に出馬を表明したペンス前副大統領は13日、ウォール・ストリート・ジャーナル紙とのインタビューで、「起訴状を読んだが、非常に深刻な申し立てだった。私はその内容を弁護することはできない」と表明。機密情報が漏れることで国家安全保障を脅かす可能性があったとしてかつての上司であったトランプ氏を批判した。