【ワシントン山崎洋介】米軍は12日午後(日本時間13日未明)、五大湖の一つで米国とカナダにまたがるヒューロン湖の上空で飛行物体を撃墜した。米国防総省が12日に発表した。同省は、地上への軍事的な脅威とは見なさないとする一方で、情報収集能力を持っていた可能性を指摘し、今後物体の残骸を回収するなどして、分析を進める。
米軍は、4日に中国の偵察気球を撃墜して以降、10日と11日にもアラスカ州やカナダ上空で飛行物体を撃墜しており、今月に入り4件目となる。
国防総省によると、飛行物体は6000㍍上空を飛行。民間航空機に危険を及ぼす恐れがあるとして、バイデン大統領の指示に基づきF16戦闘機がミサイルで撃墜した。これに先立ち、連邦航空局(FAA)はミシガン湖上空における民間機の飛行を規制した。
飛行物体は、西部モンタナ州にある機密性の高い国防総省施設の近くを通過していた。中国によるものかは現時点で不明だという。国防総省から説明を受けたジャック・バーグマン米下院議員によると、飛行物体は八角形のような構造だった。
飛行物体の撃墜を巡っては、米国とカナダが共同運営する北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)が緊急発進(スクランブル)させた米軍のステルス戦闘機F22が11日、カナダ北西部の領空を侵犯した「未確認物体」を撃墜した。記者会見したカナダのアナンド国防相によると、物体は「円筒型」で、高度約1万2000㍍を飛行していた。
米軍は4日にサウスカロライナ沖で、小型ジェット機ほどの大きさの中国の偵察気球を撃墜。10日にはアラスカ州上空で「小型車ほどの大きさ」の飛行物体を撃ち落とした。民主党上院トップのシューマー議員は、12日に放送されたABCテレビのインタビューで、10日と11日の飛行物体も気球かどうかと問われ、「(米軍と情報当局は)そう考えている」とした上で、4日撃墜された中国の偵察気球より「ずっと小さい」と語った。