トップ国際北米気球に通信傍受機能 米高官「中国軍と直接的関係」

気球に通信傍受機能 米高官「中国軍と直接的関係」

2月5日、中国のものと思われるスパイ気球を海上で回収する米海軍=米南部サウスカロライナ州沖(米艦隊総軍の公式Twitterより)

【ワシントン山崎洋介】米国務省高官は9日、米国上空を飛行した中国の偵察気球には、通信を傍受するための複数のアンテナが搭載されていたと明らかにした。また気球を製造したのは、中国軍とつながりのある企業だとし、何らかの措置を講じる方針も表明した。

高官によると、米軍のU2偵察機が撮影した画像から、複数のアンテナは通信の発信地を特定できる可能性が高いことが分かったほか、複数の情報収集センサーを動かすのに必要な電力を生み出すのに十分な大きさのソーラーパネルがあることが確認されたという。中国側は気球について「気象研究用」としているが、高官は「明らかに情報監視用、気象観測気球に搭載された機器とは矛盾する」と断じた。

国務省高官は、中国軍の調達関連サイトの情報に基づき、気球の製造業者が中国軍と直接的な関係があり、気球は偵察を目的として開発されたものだと指摘。

また、中国は5大陸にまたがる40カ国以上で気球による監視活動を行っているとし、米国やその同盟・友好国に対するこうした監視活動について解明し、対処していくと強調した。

一方米下院(定数435、欠員1)は9日、偵察気球を米本土上空に飛行させた中国に対して「米国の主権の厚かましい侵害」だと非難する決議を賛成419票、反対0票、棄権15票の圧倒的多数で採択した。米議会では、気球が米本土を通過しサウスカロライナ沖に出た後に撃墜したバイデン政権の対応に不満の声が与野党から噴出しており、9日に開かれた上院での公聴会で気球が通過したモンタナ州選出のジョン・テスター議員(民主党)は「アリューシャン列島上空でこのいまいましい気球を撃墜できる可能性があったにもかかわらず、米国を横切ることはごめんだ」と述べ、今後同様の事態が生じないよう米軍幹部に求めた。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »