トップ国際北米バイデン氏の機密文書問題 安全保障上の懸念広がる

バイデン氏の機密文書問題 安全保障上の懸念広がる

共和党、息子疑惑との関連追及

米首都ワシントンにある、シンクタンク「ペン・バイデン外交グローバル・エンゲージメント・センター」入居するビル(山崎洋介撮影)

バイデン米大統領が、機密文書を個人事務所や自宅に持ち出していた問題を巡り、国家安全保障上の懸念が広がっている。海外企業と不審な取引を行ってきた息子ハンター氏が、機密文書にアクセスできた可能性が指摘されている。(ワシントン・山崎洋介)

今月9日、首都ワシントンのシンクタンクに所在するバイデン大統領の個人事務所から、オバマ政権で副大統領だった頃の10組ほどの機密文書が見つかったことが明らかになった。その後、デラウェア州の自宅ガレージからも新たに機密文書が見つかったことが明らかになり、ガーランド司法長官は政権から独立して捜査を担う特別検察官を任命した。さらに20日には、上院議員時代のものも含め、新たに6点の機密文書が見つかった。

こうした中、注目されているのが、バイデン氏の政治的立場を利用してウクライナや中国とビジネス取引を行ってきた疑惑があるハンター氏との関わりだ。デラウェア州にあるバイデン氏の自宅には、ハンター氏も住んでいたとみられ、機密情報にアクセスしていた恐れがあるのだ。

一方、バイデン氏の個人事務所が置かれているシンクタンク「ペン・バイデン外交グローバル・エンゲージメント・センター」は、東部のペンシルベニア大学傘下の機関として2018年に設立された。これについては、ハンター氏のノートパソコンから見つかったメール内容から、同氏がその設立に関わっていたことが分かっている。CNNテレビによると、同センターの個人事務所で見つかった10の機密文書には、ウクライナ、イラン、英国などの話題を扱った米情報機関のメモやブリーフィング資料が含まれていたという。

これまでハンター氏の疑惑を追及してきた共和党は、同氏が機密情報にアクセスした可能性に懸念を示している。下院監視・改革委員会のジェームズ・コマー委員長は、ホワイトハウス顧問に宛てた書簡で、「18年の時点でハンター氏の運転免許証に(バイデン氏と)同じ住所が記載されていることが明らかになっている。米国の敵対国と国際的なビジネス取引に従事していた息子が住んでいた場所にバイデン大統領が機密文書を保管したことを懸念している」と訴えた。コマー氏は、シークレットサービス(大統領警護隊)から情報提供を求めるなどして、徹底して調査をする意向だ。

また一部の専門家は重大な問題に発展する可能性を指摘しており、元ユタ州連邦検事のブレット・トールマン氏は、FOXニュース(電子版)への寄稿で、バイデン氏による機密文書の所持は「米国の歴史の中で最大の政治スキャンダルの一つになる可能性がある」と主張。仮に持ち出された機密文書とハンター氏らの海外ビジネスとの何らかの関係が明らかになれば、「ゲームオーバーだ」と断じた。

バイデン氏の個人事務所があった同センター自体にも、厳しい目が向けられている。中国から同大への寄付は、同センターの設立を前後して増加しており、外国からの影響への懸念があるからだ。

保守系ニュースサイト、ワシントン・フリー・ビーコンなどによると、同大は14~17年に中国から1900万㌦を受け取っていたが、17~19年には6100万㌦に増加。特に、設立後間もない18年5月には、1450万㌦の匿名の寄付を受け取ったという。

米メディアによると、同センターからは、ブリンケン国務長官ら少なくとも10人がバイデン政権の高官となるなど人材の供給源になっている。しかし、米国で中国への警戒感が党派を超えて高まる中、共和党議員だけでなく、民主党議員からも実態解明を求める声が上がっている。

同党のロー・カンナ下院議員は23日に出演したFOXニュースの番組で、「お金の出所は中国共産党とつながりがあるのか。資金提供の目的は何だったのか。ペン・センターと何らかの関係があったのか」と問い掛け、徹底した調査を行うべきだとした。

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