
【ワシントン山崎洋介】岸田文雄首相は13日(日本時間14日未明)、米ワシントンのホワイトハウスでバイデン大統領と会談した。首相は、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有など新たな安全保障戦略を説明し、バイデン氏は日本の防衛力強化を歓迎。両首脳は共同声明で、対中国を念頭に、日米同盟がインド太平洋における平和と安全の礎であることを確認し、反撃能力の開発と効果的な運用について協力を強化することを明記した。
首相は会談で、「日米両国はかつてないほど厳しく複雑な安全保障環境の中にある」と述べ、昨年末に国家安全保障戦略を改定し、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を含む防衛力の強化と防衛費の増額などを決めたことを説明。その上で、「このことは日米同盟の抑止力、対処力を強めることにもつながる」とその意義を強調した。
バイデン氏は「日本の防衛費の歴史的な増額や新たな国家安全保障戦略に基づき、われわれは日米同盟を現代化している」と歓迎。また、「米国は、日米同盟、とりわけ日本の防衛に対して、完全な責務があることをはっきりさせておきたい」と強調した。
共同声明で、バイデン氏は日本の防衛力強化の取り組みについて、「日本の果敢なリーダーシップを称賛する」とした。これが「インド太平洋および国際社会全体の安全保障を強化し、21 世紀に向けて日米関係を現代化するものとなる」と評価した。
また米国は、「核を含むあらゆる能力を用いて」日本の防衛に取り組むことを約束した。
台湾海峡をめぐっては、両国は「平和と安定の維持の重要性」を強調し、「両岸関係の平和的な解決を促す」とした。米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約5条の沖縄県・尖閣諸島への適用も確認した。
さらに両国は、ロシアのウクライナに対する「不当かつ残虐な侵略戦争に断固として反対する」ことで一致。引き続きロシアに対する制裁を実施し、ウクライナへの支援を提供していくとした。
両国は、5月に広島市で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)に向けた連携も確認。経済分野については、中国やロシアを念頭に「経済的威圧」に対抗するため、同志国でサプライチェーン(供給網)の強靱(きょうじん)化を図ることで一致した。
首相のホワイトハウス訪問は就任後初めて。バイデン氏との会談は、昼食を交えて約2時間に及んだ。