【ワシントン山崎洋介】米議会下院は7日未明、議長選出のための15回目の投票を行い、昨年11月の中間選挙で多数派となった共和党トップのケビン・マッカーシー院内総務が議長に選出された。造反していた党内の保守強硬派を切り崩すことで過半数の票を獲得したものの、党内対立が浮き彫りとなり、今後の議会運営に不安を残す形となった。
マッカーシー氏は7日の就任演説で、国民に向け「2カ月前、皆さんは米国の新たな方向性のために一票を投じた。われわれはあなた方への約束を守るつもりだ」と訴えた。その上で、「われわれは、米国の長期的な課題である債務と中国共産党に対処する」と述べ、歳出削減のほか、覇権主義的動きを強める中国への対応を重要視する意向を示した。
マッカーシー氏は中国に関する特別委員会を設置するほか、不法移民が急増しているメキシコ国境の管理の強化やバイデン大統領の息子ハンター氏を巡る不正疑惑などの調査も推進する考えだ。
マッカーシー氏の選出を巡っては、反対する党内の保守強硬派が造反を続けたことにより、再投票が繰り返されていた。米メディアによると、議長選出のために10回以上の投票を行ったのは164年ぶりで、投票回数は史上5番目となる。新会期が始まった3日以降も議事を開始できない異例の事態となっていた。
6日の13回目の投票では、造反議員20人のうち14人がマッカーシー氏への支持に回った。15回目の投票で残る造反議員6人が白票を投じ、216票を獲得したマッカーシー氏が過半数に達した。
今後は、保守強硬派の影響力が強まることにより、今後の議会運営が不安定になる可能性がある。米メディアによると、マッカーシー氏は保守強硬派の支持を獲得するため、議長の解任を求めやすくする規則変更や主要委員会のポストを与えることに同意。歳出削減に関しても合意があり、国防費削減につながる可能性も指摘されている。