【連載】焦点 2022米中間選挙(上)

車道を走る車に「われわれ親は立ち上がる!」と書かれたプラカードを掲げるロースさん(山崎洋介撮影)
車道を走る車に「われわれ親は立ち上がる!」と書かれたプラカードを掲げるロースさん(山崎洋介撮影)

教育問題が選挙結果を左右も

近年、民主党色を強めていたバージニア州だが、中間選挙の前哨戦として注目を集めた昨年11月の知事選で、共和党のグレン・ヤンキン氏が終盤で猛追し、勝利を収めた。教育における「親の権利」を掲げた同氏が、教委の方針に不満を募らせていた保護者を取り込んだことが大きな勝因だった。

都市郊外の有権者を取り戻すことが課題となっている共和党は、ヤンキン氏の成功をモデルにし、「親の権利」を今回の選挙戦の重要争点の一つとして掲げている。

下院共和党は9月下旬に発表した中間選挙に向けた公約で、多数派を取り戻した場合、保護者が子供の学校で何が教えられているかを知り、子供のプライバシーを保護することを求める「親の権利章典」法案を通過させると誓った。

下院共和党ナンバー3のエリス・ステファニク下院議員は10月中旬、ビデオメッセージで、民主党左派が学校で批判的人種理論などを推進していると非難し、同法案を成立させることで「民主党の学校閉鎖による学習損失を取り戻し、保護者の手に権限を取り戻す」と訴えた。

一方、80人以上の民主党下院議員は6月に、「トランスの権利章典」法案を提出。これは、トランスジェンダーの生徒が性自認に基づくトイレ使用やスポーツチーム参加を認めることなどを求めるものだ。

民主党の法案は、保守的な州で生物学的男性が女子スポーツに参加することを禁止する法律が相次いで成立するなど、ジェンダー政策を見直す動きが進んでいることに対抗するものだ。だが、世論の後押しは乏しいのが現状だ。

ピュー・リサーチ・センターが9月に発表した世論調査結果によると、トランスジェンダーのアスリートが出生時の性別で出場することを求める政策に賛成する人は58%で、反対派はわずか17%。また、出生時の性別と一致するトイレを使用することを求める方針については、41%が賛成で、31%が反対だった。

最終盤に入り、バージニア州では教育問題が注目を集めている。きっかけは、民主党のエリザベス・グズマン同州下院議員が、児童虐待の定義を拡大し、子供が訴える性自認や性的指向を「肯定」しない保護者も含めるようにした法案を提出すると述べたことだ。特にグズマン氏がテレビ番組のインタビューで、こうした保護者が重罪や軽犯罪に問われる可能性もあると発言したことが物議を醸した。

これが大きな注目を浴びた理由は、同州連邦下院選の激戦区で出馬している民主党現職のアビゲイル・スパンバーガー氏が、グズマン氏から支援を受けているからだ。この問題が起きた直後、スパンバーガー氏は、予定されていた唯一の討論会を司会者の選定過程についての不満を理由に辞退した。

共和党候補のイエスリ・ベガ氏は、スパンバーガー氏がグズマン氏との関係についての質問を避けるために、討論会を辞退したと批判。ベガ氏は、この件を受けて勢いづいており、10月24日にはヤンキン氏を迎えて選挙集会を行い、「ウォーク(差別問題に敏感なこと)の文化に従わなければ親が投獄されるなど、狂気の沙汰だ」と訴えた。

今回、最大の争点はインフレ・経済問題となっているが、教育問題も大きな役割を果たすとみられ、2024年の大統領選でも主要な争点となり得る可能性がある。

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