集会では他にも、クロスカントリー、スケートボード、バレーボール、陸上などの女子選手が登壇し、自らの体験を語りつつ、トランス選手との競争は不公正だと訴えた。
世論はこうした女子選手を強く支持している。6月に発表されたワシントン・ポスト紙などによる世論調査では、58%は、大学やプロスポーツでのトランス女子の参加を許可すべきではないと答えたのに対し、28%は許可すべきだと答えた。
しかし、バイデン政権はジェンダーイデオロギーへの傾斜を強めている。同政権はタイトル9の50周年に合わせ、その規則の変更を提案。「性的指向や性自認に基づく差別に直面している学生に対する保護を強化」するとし、トランスジェンダーの児童・生徒にもタイトル9の保護を拡大させる方針を示した。
現在、パブリックコメント期間中となっている。今後、体は男性だが女性だと自認する生徒に対し、女子のトイレやロッカールームを使用したり、女子スポーツへ参加するのを禁止すれば、政府からの資金を受け取れなくなる可能性がある。
こうした動きに対し、すでに保守的な州では、トランス選手の女子種目参加を禁じる動きが広がっており、18州が禁止する法律を制定した。最初に成立したアイダホ州で法案を提出し、この動きに先鞭(せんべん)をつけたバーバラ・イーハート同州下院議員(共和党)は、本紙の取材にバイデン政権の方針に強い反発を示した。

大学バスケットボールチームで長年コーチを務めた経歴があるイーハート議員は、スポーツウエア姿で、「タイトル9によって、私の人生は変わった。スポーツ奨学金を受けて、大学でトップレベルの女子と競争できる機会を与えられ、その後コーチになることもできた」とその恩恵を熱っぽく語った。
2018年にコネチカット州でトランス選手たちが表彰台を席巻している状況にショックを受け、女子スポーツのために立ち上がることを決めたという。
タイトル9の保護対象にトランスジェンダーを含めることについては「バイデン政権に性別の意味を新たに定義する権威はない。女性を尊重、擁護しないバイデン政権の本性の現れだ」とこき下ろした。
その一方で、「結局のところ、これは世論が決める問題だ。両親たちは、娘たちの機会が失われる状況に対して、手をこまねいてはいないだろう」とも述べ、世論の影響力に自信を示した。
ゲインズさんも、「男性が女性スポーツに参加することを認めれば、女性スポーツの健全性が完全に損なわれ、タイトル9がつくられた目的である公平性、平等な機会などに逆行することになる。これは、タイトル9を全く別の法律に作り替えるのと同じだ」と強く反対した。
トランス選手の参加をめぐって今後も論争が高まっていくことが予想され、11月の中間選挙や2024年大統領選で争点になる可能性がある。