
【ワシントン・山崎洋介】米メディアは23日に行われた日米首脳会談をめぐり、バイデン大統領が台湾有事の際に軍事関与するとした発言や米国主導のインド太平洋経済枠組み(IPEF)に焦点を当て、中国に対し一定の圧力を示したとしつつも、IPEFの実効性への課題も指摘した。
ワシントン・ポスト紙は、「経済と国家安全保障の両方の問題で中国へのより対決的なアプローチを示した」と評した。一方、「政権は、なぜ台湾が最初の(IPEF)参加国リストから除外されたのかという疑問に直面している」と指摘。先週、52人の超党派の上院議員がバイデン氏に書簡を送り、台湾を含めるようバイデン氏に圧力をかけたと伝えた。
ニューヨーク・タイムズ紙は、バイデン氏の台湾への軍事関与の発言について、「警告も説明もなしに提示された大統領の宣言は、これを予想していなかった政権内の数人のメンバーを驚かせた」とし、台湾防衛を曖昧にしてきた長年の米国の政策が不変だと示すための「必死の緊急対応」を迫られたと報じた。また「バイデン氏の台本のない宣言は、日本を複雑な立場に置いた」とし、米国と中国が戦争になれば、日本に多大な影響をもたらすと強調した。
また、IPEFについて、「米国を日本、韓国、インドなどの地域大国と結び付け、世界で最も急成長している地域で新しい通商ルールを確立し、中国のリーダーシップに代わるものを提供」するものだと説明。ただ、「リベラル派の支持基盤をなだめるため、関税を引き下げることは含まれない」として、「その実効性について疑問を提起されている」と指摘した。